三重県と陸自第10師団が空中消火協定を締結、自立式バケットで災害対応力強化
大規模火災への対応力を強化するため、三重県と陸上自衛隊第10師団は2月18日、ヘリコプターを用いた空中消火に関する協定を締結しました。この協定では、山火事や大地震による市街地火災などで空中からの消火が必要となった場合、知事が師団長に要請し、第10飛行隊が任務にあたります。同飛行隊は、東海・北陸地区を担当する第10師団の中で唯一航空機を保有する部隊です。
自立式バケットの導入で消火効率向上
県は今年度、約440万円で800リットル容量の「自立式」空中消火バケットを購入しました。このバケットは、地上に置いた状態で消防車などから注水できる特徴があり、火災現場近くの広場や駐車場を臨時の給水拠点に設定することで、短時間での往復が可能になります。これにより、水源が現場から離れている場合の移動時間を短縮し、消火効率の向上が期待されています。
従来、県が防災ヘリに取り付けて運用していた「自汲式」バケットは、ヘリからつるしたままダム湖やため池で水をくむ方式でしたが、水源が遠いと移動に時間がかかり、消火活動に課題がありました。一見勝之知事は、「補給時間が短縮できることで、多くの人の命を救える可能性が高まる」と語り、新システムの効果に期待を寄せています。
南海トラフ地震の被害想定と教訓を背景に
三重県が2014年に公表した被害想定によると、理論上最大クラスの南海トラフ地震が冬の夕方に発生した場合、県内では約3万4000棟が焼失するとされています。冬の深夜の発災では、火災による死者数が約900人に上ると推計されており、市町別では四日市市で約1万棟、津市で約8500棟、松阪市で約7200棟の焼失が予想されています。
協定締結の背景には、過去の大地震での教訓もあります。2024年の能登半島地震では、県から派遣された職員から「断水や川底の隆起、消防水利の損傷などにより、地上隊による消火が困難となった」との報告があり、空中からの消火体制を強化する必要性が指摘されていました。
連携強化で災害に備える
バケットは明野駐屯地(伊勢市)で保管され、県外での活動についても知事の承認で可能になります。同師団長の垂水達雄陸将は、「空中消火に対する実効性の向上を図れることは喜ばしい。県と連携を密にし、いざという時に備えていきたい」と決意を述べています。この協定により、三重県と陸自の連携がさらに深まり、大規模災害への迅速な対応が期待されます。



