三菱ガス化学、サウジからのメタノール調達が困難に ホルムズ海峡の航行リスクで供給懸念広がる
大手化学メーカーの三菱ガス化学は2026年3月3日、中東情勢の緊迫化を理由に、同社が一部出資しているサウジアラビアの調達先から化学原料のメタノールが調達できなくなったと正式に発表しました。サウジの生産拠点自体は無事ですが、製品を輸送する船舶がホルムズ海峡を通航できなくなったことが直接の原因です。
メタノール供給停止の背景と影響範囲
メタノールは樹脂や接着剤、船舶の燃料など、多様な工業製品や日用品の原料として広く利用されています。三菱ガス化学は世界有数のメタノール生産大手であり、供給停止が長期化した場合、その影響は企業向けの工業製品から一般消費者向けの日用品まで、幅広い分野に及ぶ可能性があります。
同社は世界4カ国に調達先を有していますが、サウジアラビアからの調達量は特に多いとされています。当面は日本国内や海外の備蓄で対応し、他の調達先からの輸入量を増やす、あるいは代替調達先を探すなどの対策を講じる予定です。しかし、広報担当者は「今後の供給が厳しくなる可能性がある」と述べており、先行きに不透明感が漂っています。
ホルムズ海峡をめぐる緊張の高まり
ロイター通信によると、イランの精鋭部隊であるイスラム革命防衛隊の幹部は3月2日、ホルムズ海峡を通航しようとする船舶に「火をつける」と発言しました。このような発言は、中東地域の情勢がさらに緊迫化していることを示しており、国際的な物流やエネルギー供給に大きな懸念を投げかけています。
ホルムズ海峡は世界の石油輸送の要衝であり、化学原料の輸送にも重要な役割を果たしています。航行リスクが高まれば、サウジアラビアからのメタノール調達だけでなく、他の原料や製品の供給にも影響が及ぶ可能性があります。
今後の見通しと企業の対応
三菱ガス化学は、サプライチェーンの多様化を進める一方で、中東情勢の動向を注視しています。供給不安が解消されない場合、化学産業全体に波及する影響も考えられ、価格上昇や製品不足につながるリスクがあります。
この問題は、中東の地政学的リスクが日本の企業活動に直接的な影響を与える事例として注目されています。関係当局や業界団体は、安定供給の確保に向けた対策を急ぐ必要に迫られています。



