豪雨災害による被害を防ぐために重要な役割を担う「水門」の操作方法や仕組みを学べる日本初の体験型研修所が、都内にある。IHIグループのIHIインフラスクエアが運営する「防災・水門技術研修所」(東京都江戸川区)は2022年にオープンした2階建ての施設で、閑静な住宅街の一角に位置する。
自治体や公的機関にも門戸開放
研修は自社にとどまらず、他社はもちろん、水門を所有・管理する自治体や公的機関などにも門戸を開放している。受講者数は2025年度に累計で500人を超えた。
座学と実機で点検・整備を体験
研修プログラムは座学と実機を組み合わせ、水門やダムの役割、機械の仕組みや制御・点検設備の基本を学ぶ内容だ。実機による点検・整備も行い、水門の動作異常や電気系統の故障などのトラブルを体験することもできる。
また、ダムの巨大な水門設備を「MR(複合現実)」技術を使ってゴーグルで見たり、操作したりできる。山間地にあるダムの水門は水深が数十メートルで、普段は大きな水圧がかかっているため、目視で細部まで確認したり、不具合状態を確認したりすることが難しい。
老朽化と操作員の高齢化が課題
国土交通省によると、全国にある水門や樋門などの河川管理施設は2万8350か所。国が管理する水門では、2033年に約62%が「築50年以上」となる見込みで、適切な点検と修繕が急がれる。
「人」の問題も深刻だ。国交省によると、地域の委任を受けた操作員の約6割が60歳以上で、高齢化と後継者不足が進んでいる。増水した河川の近くにある施設へ高齢の操作員が出動することも難しくなっている。