三重・四日市市の水道水ボトル「泗水の里」、コスト高で生産終了へ 赤字拡大
四日市市の水道水ボトル生産終了 赤字拡大で

三重県四日市市の水道原水を使用したペットボトル天然水「泗水(しすい)の里」が、昨年度で生産を終了していたことが市への取材で明らかになった。高品質で「名水」として評価されていたが、ペットボトル代の高騰などにより赤字幅が拡大し、撤退を余儀なくされた。

赤字が拡大、生産コストが販売価格を上回る

四日市市の水道水は、鈴鹿山麓の伏流水を水源とする地下水を使用。市は水道水のおいしさや安全性を広く知ってもらうため、2005年に「泗水の里」の製造を開始した。2020年から2022年にかけては、国際品質評価機関モンドセレクションで最高金賞を獲得するなど、品質面で高い評価を得ていた。

当初、500ミリリットル1本の販売価格は75円で、製造費用は73.2円だった。年間約2万本を製造してきたが、ペットボトル代や外部委託費などの生産コストが年々上昇。2011年度からはコストが販売価格を上回る赤字状態に陥った。水道水のPR効果を考慮して製造を継続してきたが、2023年度にはコストが100円を超え、昨年度は129.7円に達した。1本あたりの赤字は50円以上に膨らんだ。

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水道水離れも影響

生活様式の変化も生産終了の一因となった。水道水を常飲する人の割合は、2004年度には約9割だったが、2024年度には7割を下回るまでに低下。市は水道水の利用促進につながっていない現状を踏まえ、生産終了を決定した。在庫がなくなり次第、販売も終了する。

市上下水道局の担当者は「大手メーカーの安価な天然水が多く流通しているため、値上げしても売れない。別の方法で水道水の安全性PRや利用促進を図りたい」と話している。

全国の自治体でも相次ぐ生産終了

日本水道協会(東京)によると、水道原水や水道水をペットボトルや缶に詰めて販売・配布する自治体は、2025年4月時点で131に上る。最も古いのは1985年に製造を開始した愛知県企業庁の「あいちの水」で、県営水道のPRを目的にアルミ缶入りの水道水をイベントで無料配布している。昨年度は15万2千本以上を製造し、担当者は「水を配ることでPR効果がある」と述べている。

一方、東京都や横浜市、広島市などでは、コスト増や環境への配慮を理由に製造を終了する自治体が少なくない。愛知県豊田市は「とよた水物語」の販売を2022年に終了。災害備蓄用水として販売してきたが、「ホームセンターやネットで他の長期保存水が出回ってきた」として製造を取りやめた。

長野県松本市は、水道原水の地下水をペットボトルに詰めた「信州松本の水」を観光土産として販売していたが、ペットボトルのプラスチックごみ問題を考慮し、2021年度で販売を終了。担当者は「水道水のおいしさや安全性はYouTube動画でPRしている」と話している。

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