相棒と歩んだ22年、京都府警の警察犬係長が退官 遊び9割の指導で数々の難局を解決
警察犬係長が退官、22年の相棒との歩みを振り返る (03.03.2026)

警察犬との22年、村上警部補が退官 遊び9割の指導で信頼築く

警察犬と共に現場を駆け回って約22年。京都府警鑑識課警察犬係長の村上高広警部補(60)は、数々の難局を<相棒>たちと共に打開してきた。秀でた警察犬を育てる秘訣は、訓練を「遊び9割」と捉え、犬を褒めちぎることにあるという。村上警部補は3月末で退官を迎える。

服従訓練の現場で見せる温かいまなざし

2月18日、府警察学校(伏見区)の犬舎前。村上警部補がダンベル型の道具を投げると、ラブラドルレトリバーの「ケニース号」(雄、4歳)は駆け出しそうなところをこらえた。指導手の指示に従う「服従」の訓練で、村上警部補は「よーし!」と呼びかけ、じっと待ったケニース号に温かいまなざしを向けた。係長として全5頭の指導を担っている。

直轄犬制度から始まった警察犬との絆

府警は1974年、夜間の緊急出動などに迅速に対応するため、警察が犬を直接飼育・訓練する直轄犬制度を導入した。1984年に任官した村上警部補は、子供の頃に雑種犬を飼っていた程度で、犬に特別な思い入れはなかった。しかし、様々な現場で活躍する警察犬の活動を知り、「せっかくなら自分にしかできない仕事を」と係に興味を持つようになった。

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希望がかなって若手の頃から配属され、犯罪捜査や行方不明者の捜索に従事。昼夜を問わない厳しい現場の連続だったが、「ともに励めば励むほど、犬も自分を信じてくれた」と振り返る。2004年には、暴力団の関係先を捜索した際に、犬を巧みに導いてライフルなど銃器を押収。実績を重ね、のめり込んでいった。

指導方針の転換 褒めることで意欲を高める

一方、指導といえば厳しさ一辺倒の時代もあった。負けん気の強い犬とは折り合いが悪く、いったん係から別の部署へ出たことも。しかし、2017年に戻って以降は指導方針を変え、訓練や現場でも積極的に褒めるようになった。

村上警部補は「遊びから全力で向き合っていると、人や物を捜し出そう、見つけてやろうという意欲を高めてくれ、現場でも活躍してくれる」と語る。次第に出動要請の電話が鳴るだけで、尻尾を振って待つ犬は増えていった。

係員3年目の袖岡優人巡査長(36)は「係長の指導は厳しくもあるが、褒める時は大げさなくらい。犬との関係は深まり、うまく連携できている」と話す。

数々の救出劇と犬の応用力

村上警部補は犬とのタッグで、2017年12月に宮津署管内で竹やぶの中から低体温症の高齢男性を救出。臆病な1頭はやぶをじっと見つめ、活発なもう1頭が激しくほえたことが手がかりになった。2024年1月には、向日町署管内で行方不明となっていた認知症の高齢女性を発見。女性が行きそうな場所を予想して、犬と歩いた結果だった。

漂うにおいをかぎ取った際の所作は犬によって異なり、それを見過ごさないのも係員に欠かせないスキル。地道な訓練で培った関係と信頼感のたまものだ。

近年は科学技術が進歩し、捜査にも大きく寄与しているが、村上警部補はさらなる犬の活躍にも期待する。「機械は1足す1を確実に2にできるが、犬は経験を重ねると応用力を発揮してくれる」と語る。

退官後の夢 動物愛護の民間事業へ

今春で後進に道を譲る村上警部補。今後は、保護犬の調教や譲渡といった動物愛護の民間事業に携わりたいという。22年間の警察犬との歩みを糧に、新たな挑戦を始める。

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