ハルメクホールディングス、三位一体のサービスでシニア女性を強力にバックアップ
かつて経営破綻の危機に直面したハルメクホールディングスは、見事に再生を果たし、現在では販売部数が日本一を誇る雑誌をはじめ、オリジナル商品や貴重な体験の場を提供することで、50代以上の女性層から圧倒的な支持を集めています。同社の宮澤孝夫社長(69歳)に、その成功の秘訣と今後の展望について詳しく伺いました。
情報・モノ・場の三位一体が生み出す独自の価値
宮澤社長は、ハルメクの経営理念について次のように語ります。「当社は『50代からの女性がよりよく生きることを応援します』という理念を掲げています。具体的には、50代以上の方々がより豊かな人生を送るために必要な多様な情報、商品、そして体験の場を総合的に提供する企業です。」
例えば、60代向けのファッション情報を提供するだけではありません。読者からの声を反映させてシニア女性が必要とするアイテムを企画し、オリジナル商品を開発。さらに、それらの服をどのように着こなすか、コーディネート方法を学ぶ講座も開催しています。このように、一つのテーマに対して様々な角度からソリューションを提供することが、ハルメクの強みです。
宮澤社長は強調します。「情報だけでは十分ではありません。モノだけあっても理解が深まらない。場だけでも物足りない。情報、モノ、場が三位一体となって初めて、真のサービスが完成します。この三要素が揃うことで、お客様がよりよく生きるためのお手伝いができると考えています。」
顧客獲得の手段も多様化しています。かつては雑誌が中心でしたが、現在では新聞広告や百貨店内の店舗で洋服や化粧品を実際に手に取ることで、ハルメクを知る方も大幅に増加。旅行や観劇などのイベントでは、事前の解説を聞くことで楽しみが倍増し、毎月参加されるリピーターも多くいらっしゃいます。
コンサル時代の経験が礎に、本質を見極める力を養う
宮澤社長は、東京大学大学院で航空工学を専攻後、野村総合研究所に入社。その後、ボストンコンサルティンググループを経て、1996年にテレマーケティングジャパン(現TMJ)に転じました。2003年から同社の社長を務め、2009年には「いきいき」(現ハルメク)の経営再建を託され、社長に就任。2018年から現職を務めています。
大学院まで進学しエンジニアを目指していた宮澤社長ですが、就職活動中にメーカーへの就職を考え直しました。「経営者になって自分で事業を創りたいという思いが強かったんです。その際、偶然にも野村総研の存在を知りました。技術系のリサーチやコンサルティングを行っており、自分の技術的な背景を活かせると同時に、経済や経営についても学べると感じました。」
コンサル時代に取得したMBA(経営学修士)は、現在の経営に大きく活かされていると語ります。「経営に対する見方や考え方は、全て私の基礎となっています。例えば営業力強化を図る際には、営業マンに同行して現場を回り、細部まで観察して本質を考える。売上や利益だけを見るのではなく、新規顧客の年齢層やリピート回数など、データを分解して分析することで、より根本的な課題を探し出します。」
その後、コールセンター運営のテレマーケティングジャパンに転職した背景について、宮澤社長は次のように振り返ります。「賢いコンサルを目指すよりも、組織を動かし、戦略を策定して実行まで携わりたいと思いました。1996年当時、コールセンタービジネスは黎明期であり、成長の可能性を感じたことがきっかけです。」
科学的な運営で品質と生産性を向上させ、利益を上げる方法が当時の日本には不足していました。そこで、アメリカのコールセンターを徹底的に研究。「現地を訪れた回数は、おそらく私が日本一だったと思います。彼らの理論や方法論を学び、その本質を咀嚼して体系化したことは、今でも誇りに思っています。」
約5年間社長を務めた後、人のマネジメントについて改めて学ぶ必要性を感じたと語る宮澤社長。その経験が、ハルメクの経営再建や三位一体サービスの構築に活かされています。



