矢崎総業子会社が下請法違反 文書・金型を無償保管させ公正取引委が勧告
矢崎子会社が下請法違反 文書・金型を無償保管で公取委勧告

自動車部品大手子会社が下請法違反 文書や金型の無償保管で公取委が勧告

公正取引委員会は2026年3月30日、自動車部品大手「矢崎総業」(東京都港区)の完全子会社である「矢崎部品」に対し、下請法(中小受託取引適正化法)違反を認定し、勧告を出した。同社は委託先企業に対し、文書や金型を無償で保管させるなど、不当な経済上の利益の提供を要請していたとされる。

119社に文書を無償保管 長期指定で倉庫負担も

公取委の発表によると、矢崎部品は自動車用ワイヤハーネスの部品製造を委託した119社に対し、不具合発生時に使用する製造作業記録や検査文書、品質関連文書を無償で保管させていた。さらに、これらの文書を電子データ化する作業も委託先に負担させていたという。

保管期間は10年から20年に指定されており、中には段ボール約350箱分の文書を倉庫で保管させられていた事例も確認された。これにより、委託先企業は相当な保管スペースと管理コストを強いられていた実態が明らかになった。

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金型5235個も無償保管 重さ1トンの大型品も

さらに、同社は遅くとも2023年9月以降、部品製造を委託した69社に対し、貸与していた金型など計5235個を無償で保管させていた。これらの金型は大きいもので重さ約1トン、体積約1立方メートルに及ぶ大型品も含まれ、いずれも1年以上発注がない状態だった。

また、84社にはリコールなどの事態に備え、無償で完成品と同じサンプルを製造させ、半年から1年間保管させていたことも判明している。

「3年以内なら問題ない」との認識 製造業の商慣習として問題視

矢崎部品は公取委の調査に対し、「発注がない場合でも、3年以内の保管なら費用を支払わなくても問題ないと認識していた」と説明したという。しかし、公取委はこの行為を下請法違反(不当な経済上の利益の提供要請)と認定した。

金型の無償保管を巡る同様の違反は、製造業界で長年問題視されてきた商慣習の一つ。公取委が今回勧告を出したのは、同種事例としては通算で39件目(2026年度では26件目)となる。

公取委が費用支払いと再発防止を要求

公正取引委員会は矢崎部品に対し、以下の措置を求める勧告を出した:

  • 委託先企業に対し、無償保管させていた文書や金型に関する適切な費用の支払い
  • 同様の行為を繰り返さないための再発防止策の徹底
  • 社内管理体制の見直しと従業員への教育強化

今回の事例は、大企業と中小企業間の取引における力関係の不均衡を浮き彫りにした。公取委は引き続き、下請取引の適正化に向けた監視を強化していく方針を示している。

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