「アクティビスト天国」に終止符、株主提案の条件を厳格化へ
法制審議会(法務大臣の諮問機関)は2026年3月18日、会社法の見直しに関する中間試案を公表しました。この試案では、株主総会に議案を提出できる条件を厳しくする内容が盛り込まれており、いわゆる「アクティビスト天国」と呼ばれる状況に終止符を打つ方針が示されました。
現行制度の問題点と改正案の具体的内容
現行の会社法では、株主が議案を提案できる条件として、「議決権の1%以上」または「300個以上の議決権」を6カ月以上保有することを定めています。しかし、この「300個」という基準は、株式分割や売買単位の引き下げによって容易に達成できるようになり、実質的なハードルとして機能しなくなっていました。
中間試案では、この問題に対処するため、以下の2つの選択肢が提示されています。
- 「300個」の基準を廃止し、「議決権の1%以上」のみを条件とする案
- 「300個」の基準を500個や1,000個などに引き上げる案
いずれの案も、株主提案の門戸を狭め、より慎重な議論を促すことを目的としています。
株主提案の急増と「株主偏重」への批判
この改正の背景には、株主提案の急激な増加があります。三井住友信託銀行の調査によると、昨年6月の株主総会では、上場企業に対する株主提案が114社に399件に上り、過去最多を更新しました。
アクティビスト(物言う株主)からの提案を受けて、大規模な自社株買いなどを実施する企業が目立つようになり、従業員や顧客、取引先を軽視した「株主偏重」への批判が強まっています。法務省は「現在の下限設定は1981年に決められて以来、半世紀近く変わっていない」と指摘し、時代環境の変化に対応する必要性を強調しています。
「実質株主」特定制度の導入と「ウルフパック戦術」への対応
中間試案では、議決権を実質的に握る「実質株主」を特定できる制度の導入も盛り込まれています。これは、複数の株主が協力して企業に影響力を行使する「ウルフパック(群狼)戦術」を抑止するための措置です。
企業と株主の対話を向上させ、建設的な関係を築くことが改正の大きな目的となっています。法務省は今後、意見公募(パブリックコメント)を経て最終案をまとめ、2026年度中に会社法改正案の提出を目指す方針です。
個人株主への影響と今後の展望
提案権の厳格化は、特に個人株主への影響が大きいと見られています。しかし、法務省は「開かれた株主総会を維持しつつ、適切なバランスを取る必要がある」と説明しています。
今回の改正案は、企業統治(コーポレート・ガバナンス)の在り方を見直す重要な一歩となる可能性があります。アクティビストの活動が活発化する中、企業と株主の健全な関係を構築するための制度的基盤が整備されようとしています。



