第三者委が指摘、ニデック不正会計の原因は創業者・永守氏の経営スタイル
ニデック不正会計、第三者委が創業者の経営スタイルを原因と指摘

ニデック不正会計、第三者委員会が創業者の経営スタイルを原因と指摘

ニデックの不正会計問題を調査する第三者委員会は、調査報告書を公表し、創業者である永守重信氏(81)の経営スタイルが不正の根本的な原因となったと指摘しました。「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」という利益最優先の姿勢が、企業風土に深く浸透し、不正会計を誘発したと分析しています。この問題は、同社が「永守氏の会社」からの脱皮を果たし、風土改革を実現できるかどうかの試金石となりそうです。

非現実的な目標と過度なプレッシャー

第三者委員会によれば、不正会計の背景には、各事業の実力を無視した「非現実的な業績目標」の設定がありました。これは永守氏の精神を反映したもので、「永守氏の経営スタイルそのもの」と評されています。永守氏はメールなどで「全員やめてくれや!」「経営管理が全くダメであり信頼できない」といった厳しい叱責を繰り返し、社内に大きなプレッシャーを与えていました。

さらに、「赤字は悪」という考え方が長年にわたり徹底され、利益最優先の意識が醸成されました。この風土の中で、目標を達成できない子会社幹部に対して、執行役員が「お前はS級戦犯だ」と罵倒する事例も発生。業績目標達成のため、会計不正が行われ、その結果として資産性に疑義のある資産が積み上がり、社内では「負の遺産」と呼ばれていました。不正は長期にわたり、ミスを含めて「1000件以上」あったとされています。

組織的な隠蔽と永守氏の責任

第三者委員会は、永守氏による直接的な不正指示は確認されなかったと認定しました。しかし、社内では「特命監査」として永守氏直属で一部調査が行われていたものの、その内容は監査法人や社内の監査部門に伝えられず、不正を計画的に会計処理する組織的な隠蔽が繰り返されていました。

「負の遺産」についても、組織的に把握しながら監査法人に秘匿し、利益が出た際に少しずつ処理していたと報告。永守氏は不正を認識しながら是正を先延ばしにしており、「それ自体が会計不正と評価される。不正を容認したとの評価は免れない」と結論づけられました。一方、現社長の岸田光哉氏については、具体的な認識がなく、「負の遺産」の処理に関して進言するなど「相応の努力をしたと評価できる」としています。

再生への道筋と課題

岸田社長は記者会見で、「『必ず正しくやる』ことを企業風土の中心に据え、一部のステークホルダーによって運営が歪められない仕組みづくりが使命だ」と再生への決意を表明しました。しかし、あるOBは読売新聞の取材に対し、「管理職の部下への叱責は日常的だった。風土を変えるのは簡単ではない」と懸念を示しています。

永守氏は先月、名誉会長を辞任し社内の全ての役職から退きましたが、昨年9月時点でニデック株を個人で8.61%、資産管理会社を通じて3.52%保有する事実上の筆頭株主です。企業統治に詳しい山口利昭弁護士は、「社内で意見が分かれた際に、永守氏に株主として支援を求めることもできてしまう」と指摘し、「健全な経営のためには、少なくとも人事面に一切影響を持たない関係性にすることが重要だ」と述べています。

この問題は、ニデックが過去の遺産を清算し、透明性の高い企業統治へと転換できるかどうかを問うものとなっています。第三者委員会の報告書は、創業者の強い影響力がもたらすリスクを浮き彫りにし、今後の企業改革の重要性を強調しています。