ニデック不正会計の全容 創業者プレッシャーが蔓延の背景に
世界的なモーターメーカー「ニデック(旧日本電産)」を揺るがす不正会計問題で、第三者委員会は2026年3月3日、詳細な調査報告書を公表した。報告書によれば、不正会計は創業者の永守重信氏による強いプレッシャーを背景に、同社の幅広い拠点に蔓延していた実態が明らかとなった。
「徹夜してでも利益捻出」の無理難題
第三者委員会の調査では、永守氏が高い業績目標を設定し、本社の執行役員が連日会議を開いて「徹夜してでも営業利益を捻出せよ」と現場に無理難題を課していた事例が確認された。このようなプレッシャーが積み重なり、実力を超えた利益目標を達成したように見せかけるための不正会計が常態化していたという。
井上寅喜公認会計士は「不正会計は調査対象とした2020年度以降の期間よりもかなり以前から始まっており、すべての事業部のいたるところで起こっていた」と証言。不正の件数は確定が難しいとしつつも、その蔓延ぶりを強調した。
多岐にわたる不正手口の実態
不正会計の具体的な手口は多様で、子会社の「日本電産サーボ」では架空の売り上げ計上や在庫の二重計上も確認された。高い業績目標の達成が優先され、積もり積もった「負の遺産」の処理は先送りされ続けていた。
第三者委員会の平尾覚委員長は記者会見で「永守氏も不正を容認していた可能性がある」と指摘。同社は最大2500億円の減損処理が必要となる恐れがあることも明らかにした。
「永守氏からの脱皮」が急務
報告書では、ニデックが企業体質を根本から見直す必要性を強調。「永守氏からの脱皮」を掲げ、創業者依存からの脱却と透明性の高いガバナンス体制の構築を2026年中に実現すべきだと提言した。
この問題は、かつての東芝不正会計問題を想起させる大規模な不祥事として、日本の企業統治に再び警鐘を鳴らすものとなった。業績至上主義がもたらす歪みと、創業者カリスマの影に潜むリスクが浮き彫りになった格好だ。
ニデックは今後、第三者委員会の提言を受け、経営体制の抜本的な見直しに迫られることになる。投資家や取引先からの信頼回復に向けた道のりは険しいものとなりそうだ。



