軽油価格カルテル疑惑、長野発の調査が東京へ拡大
法人向け燃料販売「フリート販売」を行うガソリンスタンドを舞台に、運送・建設業者への軽油販売で価格カルテルを結んだ疑いで、公正取引委員会は4月17日、石油元売り最大手のENEOS系企業を含む7社を刑事告発しました。この東京を中心とした軽油カルテル疑惑が表面化した背景には、長野県内でのガソリン価格操作疑惑が重要な端緒となっていました。
長野のガソリン価格疑惑が発端
昨年2月、長野県の地元紙・信濃毎日新聞が「ガソリン価格調整か」との見出しで報じたのは、長野県石油商業組合による価格カルテル疑惑でした。注目すべきは、長野県のレギュラーガソリン価格が1リットルあたり、昨年1月中旬まで実に22週連続で全国最高値を記録していた事実です。この異常な価格状況が調査の契機となりました。
報道からわずか13日後、公正取引委員会は同組合に対して立ち入り検査を実施。関係者によれば、この立ち入り検査によって疑惑への関心がさらに高まった時期に、公取委に対して1本の重要な情報提供が寄せられました。その内容は、組合に加盟している東日本宇佐美を特定し、神奈川県の業者に対する軽油販売においてもカルテルが結ばれているという重大な指摘でした。
調査範囲が神奈川へ、そして東京へ
東日本宇佐美は、ガソリンスタンド大手として知られる宇佐美鉱油の子会社です。長野県におけるガソリンカルテル調査の陰で、公正取引委員会は神奈川県を舞台とした軽油カルテルの調査を密かに開始していました。長野での立ち入り検査から約3カ月後、調査の焦点は次第に東京へと移行していったのです。
今回刑事告発された7社には、石油業界を代表する大手企業が名を連ねています。公取委の調査によれば、これらの企業が運送・建設業者向けの軽油販売において、価格を協調して操作していた疑いが強まっています。法人向け燃料市場における競争環境の歪みが、長期間にわたって続いていた可能性が浮上しています。
軽油カルテル疑惑の調査経路は、以下のように展開しました:
- 長野県でのガソリン価格疑惑報道(2025年2月)
- 公正取引委員会の立ち入り検査(報道後13日目)
- 神奈川県の軽油カルテルに関する情報提供
- 東京を中心とした大規模な軽油カルテル調査へ発展
- ENEOS系など7社に対する刑事告発(2026年4月17日)
この事件は、地域的な価格操作疑惑が、より広範な業界全体の不正へと調査が拡大する典型例を示しています。公正取引委員会は、今回の刑事告発を契機に、石油業界全体の取引慣行に対する監視を強化する方針です。企業間の適正な競争を確保し、消費者や事業者への公平な価格形成が今後の重要な課題となるでしょう。



