スルガ銀行旧経営陣に47億円賠償命令 美術館寄付で利益相反認める
スルガ銀旧経営陣に47億円賠償命令 利益相反認める (13.03.2026)

スルガ銀行旧経営陣に47億円超の賠償命令 美術館寄付で利益相反認定

創業家出身者が代表理事を務める美術館への巨額寄付をめぐり、スルガ銀行(静岡県沼津市)が旧経営陣に対して起こしていた損害賠償請求訴訟の差し戻し審判決が、2026年3月13日に静岡地裁で言い渡された。日野直子裁判長は銀行側の訴えを認め、岡野光喜元会長を含む旧経営陣7名に対し、総額47億6千万円の賠償支払いを命じた。

47億円超の寄付金が創業家企業に流用か

判決内容によれば、スルガ銀行は2013年から2017年にかけて、当時の経営陣の判断により、創業家出身の3代目頭取が設立したベルナール・ビュフェ美術館(静岡県長泉町)に対して、合計8回にわたり47億6000万円の寄付を実施していた。銀行側は訴訟において、これらの寄付金が美術館を経由して創業家系の「ファミリー企業」に流れた後、同行への借入金返済に充てられたと主張。これにより銀行に重大な損害が生じたと訴えていた。

これに対して旧経営陣側は、寄付は企業の社会的責任(CSR)活動の一環として行われた正当な行為であり、美術館の改修工事や美術品購入に使用されたため、銀行に損害を与えるものではないと反論していた。

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取締役会での開示義務違反を認定

判決では、スルガ銀行側が主張する事実関係をほぼ全面的に認定。特に、寄付金の流用という重要な事実を取締役会において適切に開示しなかった旧経営陣側の責任を明確に指摘した。日野裁判長は判決理由の中で、「CSRとは別の目的も存在していたのであるから、事実を明らかにして慎重に検討することが不可欠であった」と述べ、情報開示義務違反を厳しく批判した。

判決を受け、スルガ銀行は「当行の主張の正当性が司法によって認められたと評価している。同時に、旧取締役らの法的責任が明確になったと考えている」とのコメントを発表した。

訴訟の経緯と今後の展開

この損害賠償請求訴訟は、2024年4月に静岡地裁で銀行側の訴えが一度棄却されたものの、東京高等裁判所での審理を経て差し戻されていた。今回の判決はその差し戻し審における結論となり、銀行側の全面勝訴という形で決着した。

今回の判決は、企業統治における取締役の説明責任と利益相反取引の厳格な管理の重要性を改めて浮き彫りにした。金融機関の経営陣が自らの判断で巨額の資金を動かす際には、透明性の高い意思決定プロセスが不可欠であることを示す事例となった。

今後、旧経営陣側が控訴するかどうかが注目される。また、同様の利益相反が疑われる取引が他に存在しないか、金融当局による調査が進む可能性もある。地域金融機関のコーポレートガバナンスの在り方が、改めて問われる判決と言えるだろう。

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