エア・ウォーター不正会計、グループ37社に拡大 会長への報告は2024年に遡る
東証プライム上場の産業ガス大手エア・ウォーター(大阪市)で発覚した不正会計問題が、グループ全体37社に拡大していることが明らかになった。発端は日本ヘリウムにおける架空在庫問題だったが、内部調査の過程で建築・土木資材子会社などでも売上高のかさ上げや循環取引が次々と発見された。さらに、問題の初期報告が2024年10月に豊田喜久夫会長兼最高経営責任者(CEO)にも上がっていた事実が判明し、内部統制の欠如が深刻に浮き彫りとなっている。
ヘリウム在庫の54%が架空 影響額は約16億円
不正会計の発覚は、ヘリウムの過少在庫問題をきっかけに始まった。グループ会社の日本ヘリウムでは在庫の重量測定が実施され、2025年6月末時点で在庫の54%が実態のない「架空」のものであると判明。この影響額は約16億円と計算された。問題を受けて同社は8月に第三者による外部調査を開始し、10月には元大阪弁護士会会長の小原正敏氏を委員長とする特別調査委員会を設置することを決定した。
建築資材子会社でも売上かさ上げと循環取引が判明
外部調査が始まるとすぐに、建築・土木資材の製造販売を行うグループ会社のエア・ウォーター・エコロッカ(長野市)などでも不正が発覚した。具体的には、ゼネコンから受注した工事を下請けに出し、材料を有償で支給した際に、会計ルールに反して材料の売り上げを二重計上していた。さらに、グループ会社間で循環取引を行い、モノを動かさず伝票を回すだけで架空の売り上げを計上する典型的な粉飾手法も用いられていた。
会長への報告は2024年10月に遡る 内部統制の欠如が露呈
特筆すべきは、エコロッカにおける在庫不一致問題が、日本ヘリウムの過少在庫問題が発覚するより前の2024年5月ごろにすでに発見されていた点だ。この問題に関する報告書は、2024年10月9日に豊田会長にも提出されていた。会長自らが「粉飾決算ではないのか」と疑問を呈した発言をきっかけに内部調査が進められたが、実際には1年以上前から問題が認識されていたことになる。これにより、同社グループのガバナンス体制と内部統制の不備が改めて指摘される形となった。
現在、特別調査委員会による詳細な調査が継続中であり、不正の全容解明と再発防止策の策定が急がれている。産業ガス業界を代表する上場企業での大規模な不正会計は、資本市場に対する信頼を揺るがす事態として、関係当局や投資家の注目を集めている。



