神奈川県鎌倉市の鶴岡八幡宮近くに位置する、築約100年の歴史を持つ酒店「三河屋」が、約2年間にわたる大規模な改修工事を完了し、結婚式の開催も可能なレストラン「鎌倉 三河屋本店」として新たな一歩を踏み出した。同店では酒類の販売スペースも引き続き設けられ、長年親しまれてきた老舗酒屋としての営みも並行して継続される。
歴史的建造物の価値を最大限に活かした改修
三河屋の建物は1927年に建築された木造2階建てで、伝統的な「出桁造り」と呼ばれる様式を採用。軒先が大きく張り出したこの建築様式は、国の登録有形文化財(文化財保護法に基づく)および鎌倉市の景観重要建築物等に指定されている。改修工事では、こうした文化財としての価値と外観を最大限に尊重するため、竹を編んで土壁の下地を形成する「小舞」などの伝統工法が積極的に用いられた。瓦や柱材などの部材は可能な限り現状のまま再利用され、石造りの蔵から店先まで続くトロッコレールもそのまま保存されている。
安全対策と環境配慮
安全性を確保する観点から、厨房設備は全面的に電化され、防煙設備や防火設備も新たに整備された。また、長らく使用されていなかった井戸を復活させ、庭の植栽の間で水を循環させることで、客席からの景観に新たな潤いをもたらしている。
地域のシンボルとして愛される建物
若宮大路に面した風格ある建物は、地域のランドマークとして親しまれてきた。三河屋で生まれ育った女将の竹内喜美代さん(83歳)は「工事中、近所の方々から『完成が楽しみ』と声をかけていただき、この建物が長く愛されてきたことを実感しました」と語る。
運営会社の思い
改修工事を手がけ、レストランの運営を担う株式会社Daiyu(鎌倉市)の代表取締役、宮腰真里さんは「酒店時代の蔵や土間、梁などには余計なデザインを加えず、訪れる人がかつての姿を想像できるよう配慮しました。残したいと願う建物で新たな事業を営み、100年先の未来へつなげていきたい」と話す。
レストラン「鎌倉 三河屋本店」は2026年5月7日に開店予定。食事後には建物内部の案内も受けられる。予約は公式ホームページのレストランページから受け付けており、当面は昼食のみの営業となる。



