米新興AI企業ジェンスパークCEO、日本に3年で155億円投資へ
ジェンスパークCEO、日本に3年で155億円投資へ

米国の新興AI(人工知能)企業「ジェンスパーク」のエリック・ジン最高経営責任者(CEO)(44)が読売新聞のインタビューに応じ、日本は重要な市場の一つだとして、今後3年間で日本に1億ドル(約155億円)を投資する方針を明らかにした。

オールインワンのAIプラットフォーム

ジェンスパークは2023年に米シリコンバレーで創業。創業から約2年で「ユニコーン(企業価値10億ドル以上の未上場の新興企業)」に成長した。26年1月には日本法人を設立して日本での事業拡大に注力している。

ジンCEOは、同社のサービスについて「様々なAI機能を統合したオールインワンのAIプラットフォームを提供している」と説明。オープンAIやアンソロピック、グーグルなど70種類以上のAIモデルを組み合わせ、リサーチ、資料作成、データ分析、画像生成などをまとめて実行できると語った。

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例えば、パソコンに「過去2週間、シリコンバレーのAI企業についてどのような新しいニュースがあったのかをまとめてください。それぞれの企業の売上高についても調べ、基本情報をすべて表にまとめてください。その表を基にスライド資料も作成してください。調べた内容をメモにしてください」と話しかけてエンターキーを押せば、AIエージェントが複数のAIモデルを呼び出して組み合わせ、指示を小さなタスクに分解し、クラウド上で実行する。多くの場合、5分ほどで成果物が生成されるという。

データ蓄積で「スタイルに沿った回答」

同社は7月、クラウドを通じて利用者のデータを蓄積する新機能を発表した。利用者が作成した会議の議事録やメールなどのデータを蓄積し、利用者の考えやスタイルに沿った回答や資料を用意することができるとしている。

有料プランは月額20ドル(約3100円、年間契約の場合)程度からで、一定量のクレジットが付与される。有料会員は会議の議事録作成や要約を無制限で利用できる。

日本市場への投資と展開

日本法人は今年1月に設立。ジンCEOは「私たちのユーザーは世界中にいる。その中でも日本は主要市場の一つだ」と述べ、月間利用者数は世界全体で1000万人を超えると明かした。国別の数字は非公表としつつ、日本と米国、韓国のユーザー規模はほぼ同じだと語った。

今後の投資について「人材採用、市場開拓、サービス運営など、幅広い分野に充てる」と説明。日本では投資会社からマーケティング会社まで、幅広い業種から強い関心が寄せられているとした。

AI録音デバイスと動画生成サービス

同社はクレジットカードほどのサイズのAI録音端末「セカンドブレーンノート」を展開。バッテリーは最大35時間稼働し、会議が終わると議事録を作成する。端末購入費は179ドル(約2万8000円)が別途かかる。

また、「メディアエージェント」と名付けた動画生成サービスの開発を進めており、「東京を舞台にしたラブストーリーの動画をつくって。長さは2分間。キスシーンも入れて」と入力すると、AIが脚本を作成し、登場人物やシーンを生成する。9月中にも日本を含む世界で提供を開始する予定で、追加料金はかからないとしている。

著作権問題については「外部のAIモデルを利用している。著作権に関する対応は、そうしたモデルの提供元が行っている」と述べ、モデル側が著作権を侵害するコンテンツの生成を拒否する仕組みだと説明。日本政府が8月に公表したAI学習データの開示求める原則については「内容を詳細に確認していきたい。日本政府の指示やガイダンスには当然従う」と語った。

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現在の売上高については、サービス開始から1年でARR(現時点の収益を1年分に換算した金額)が2億5000万ドル(約390億円)を達成したと明かした。従業員数は世界全体で約80人、日本には約10人。ジンCEOはマイクロソフトの検索サービス「ビング」の創設メンバーの一人で、「検索した結果をもとにスライドを作りたいと考えている。そこで、利用者がそうした作業を行うのではなく、AIが直接スライドを作ればよいと考え、ジェンスパークを創業した」と振り返った。