西武渋谷店が9月30日、58年の歴史に幕を閉じる。1970~80年代の最盛期、何が若い世代に熱狂を生んだのか。そこからなぜ店は傾いたのか。84年から西武渋谷店の店長となり、後に西武百貨店の社長を務めた水野誠一さん(80)に聞いた。
「なるべくして閉店した」と元店長
閉店の知らせについて水野さんは「渋谷店は自分で苦労して新しいことにトライした店で、愛着がありました。店を閉めることになったのは、もちろん再開発や大家さんとの問題などありますが、それ以上に西武渋谷が『普通の百貨店』になってしまったことが大変残念です。なるべくして閉店したという諦めもありました」と語った。
水野さんが西武百貨店に入社したのは1970年。東京・日暮里にある開成高校に通っていたとき、『VAN』というブランドを買いに西武池袋店に行くようになった。大学に進み、渋谷店ができる時に内見会に招待され、自社編集の売り場『カプセル』を見て「すばらしい」と思ったという。プロデュースした三島彰さんに「西武に来いよ」と言われたことが入社のきっかけだった。
「西武は三流デパート」と言われた入社当時
企業研究をすると、セゾングループ創業者の堤清二という人がつくる西武は、普通の百貨店にとどまらず、もっとおもしろい事業になるのではないかと感じた。大学の教授には「三越でも伊勢丹でも推薦状は書く。でも、西武は三流デパートだ」と言われたが、入社を決めた。
西武渋谷店では、日本の新人デザイナーらの商品をカプセル状のディスプレーに展示して販売する、自社でセレクトした売り場「カプセル」が展開された。この記事は有料記事です。残り1703文字。