レゾナック・ホールディングス(HD)から分社化した石油化学専業のクラサスケミカル(大分市)が29日、東京証券取引所スタンダード市場に上場する。国内需要の減少などで化学各社が石油化学事業の縮小や再編を進めるなか、クラサスが独立してどう成長戦略を描けるか注目される。
大分コンビナートを拠点にエチレン年69万トン
クラサスの生産拠点は1969年に稼働した大分コンビナート。さまざまな石油化学製品のもととなる「エチレン」をつくり、生産能力は年69万トンで国内2番目に大きい。国内に12基あるエチレン生産設備で、九州唯一の拠点だ。
メガネレンズ向けの有機化学品や、食品容器、自動車部材などに使われる合成樹脂に強みがあり、2025年12月期の売上高は3039億円、純利益は30億円だった。
パーシャルスピンオフ税制の国内2例目
上場後、レゾナックHDが持つクラサス株の比率は100%から20%未満に下がり、連結対象から外れる。上場にあたっては、要件を満たせば実質非課税で子会社を分離できる「パーシャルスピンオフ税制」を活用した。この税制が使われるのは、日本ではソニーグループから25年に分離・上場したソニーフィナンシャルグループに続き2例目となる。
初日の売買注文の参考となる「流通参考値段」は1株200円で、クラサスの時価総額は計算上、470億円程度となる。
社長「独立すれば、自分たちの稼いだお金を成長のために投資できる」
クラサスの福田浩嗣社長は、上場を控えた25日の朝日新聞の取材に、「レゾナックが半導体素材に経営資源を集中させるなかで、石油化学に資源が回ってこないジレンマがあった。独立すれば、自分たちの稼いだお金を成長のために投資できる。我々の技術、製品でカーボンニュートラルを成し遂げ、社会の発展に貢献していきたい」と話した。
設備削減や再編が進む化学業界において、クラサスの上場が注目される。