三井住友トラストクラブは9月29日、日本で初めてとなる「ダイナースクラブ ゴールドカード」を10月1日から発行開始すると発表した。20~30代をターゲットに、より加入しやすいカードを発行し、今後の上位カードへの移行を期待する。
若年層向け「ダイナースクラブ ゴールドカード」
ダイナースクラブは、もともと米国で財布を忘れた事業家がツケ払いで食事できるクラブを作ったことが始まりで、「根幹はクラブであり、人と人とが繋がるコミュニティ」と、三井住友トラストクラブの山口信明社長は話す。こうした背景もあって、「ネットワーク、コミュニティを大事にする経営者、ビジネスエリートから厚い支持がある」(山口社長)という反面、若い世代でのダイナースクラブブランドの浸透に課題があった。実際、カード会員で見ると「20代・30代は全体の1割弱にとどまっている」と山口社長。
さらに日本でキャッシュレス決済が浸透し、20代でもクレジットカードが広く保有されるようになり、日常的に使われるようになったことを背景に、それぞれの生活スタイルにあった決済手段、クレジットカードの種類が求められるようになったと山口社長は指摘。「クレジットカード会社にも幅広くラインナップを取り揃えることが求められる時代になった」(同)。
ゴールドカード市場の拡大と若年層の関心
加えて、ゴールドカードやプラチナカード市場が拡大している。かつてゴールドカードは一部上位層のものというイメージがあったが、通信系、流通系などの様々な事業者がゴールドカード事業に参入し、より利用者が拡大。さらにプラチナカード市場への参入も相次いでいる。国内の富裕層・準富裕層も、2005年の361万世帯から2023年には558万世帯まで拡大。「業界全体でこの層を取り込もうとする競争が加速している」(同)という。
さらに20代のゴールドカードへの関心も高まっており、2025年の調査ではゴールドカードを持たない18~29歳の約6割が保有してみたいと回答しており、20代で初めてゴールドカードを取得した年齢の最多は20歳で、24歳以下が約8割となっていて、早くからゴールドカードを取得しているという現状がある。
ラインナップ拡充と特典
こうした「ゴールドカード市場の裾野の拡大」、「プラチナカード市場の競争激化」という2つの動きが進行しており、これに対して三井住友トラストクラブでは、「ダイナースクラブの価値観を訴求できる分かりやすい商品を取り揃える必要がある」(同)と判断した。現状、ダイナースクラブのプロパーカードは申込制としては1種類しかなかった。「ダイナースクラブには申し込みできる商品が1つしかないというのが、若い世代との接点を持ちづらい原因だった」と山口社長は強調する。
年会費は11,000円、家族カードは1枚目が無料。初年度の年会費は無料で、前年のカード利用が100万円を超えれば翌年の年会費は無料となる。石田氏は、「1カ月に約8万円なので、メインカードとして使ってもらえれば20~30代でも十分到達できる」とアピールする。なお、入会条件は39歳までだが、入会後に40代になってもそれ以降は使い続けられるという。
デザインは2種類で、1つはゴールドのグローブデザイン。2つ目は一からデザインを制作したとのことで、星空をモチーフにホログラムを施したもの。従来通り利用額100円につき1ポイントが貯まる基本ポイントに加え、ゴールド専用のポイントプログラムも用意。「いつものお店でポイントボーナス for ゴールドカード」では、従来のプロパーカードとは異なる店の利用でポイントが加算される。スターバックスのオンラインカードチャージ、Uber・Uber eats、Hulu、U-NEXT、携帯電話、電車・バスなどでポイントが10倍になる。
また、「食べログプレミアム」の月額料金をキャッシュバックするほか、国内空港ラウンジ利用など、様々な特典も準備した。レストランウィーク、大使館イベントなど、同社が提供してきた体験イベントなどにも参加可能で、今後も順次サービスを追加していきたい考え。付帯カードとして、家族会員を含めて「TRUST CLUB プラチナマスターカード」を提供する。ダイナースクラブの加盟店だけでなく、Mastercardの加盟店での支払いも可能になる。
上位カードのリニューアルと今後の展望
さらに、上位カードとして従来のダイナースクラブカードを、新たに「ダイナースクラブ プラチナ」としてリニューアルする。カードスペックとしては変更はなく、既存会員も手続きは不要だが、よりステータスを感じさせる名称としてプラチナとしたという。年会費やサービス内容などは変更ないが、新たにメタルカードの発行にも対応する。さらに上位のプレミアムやロイヤルプレミアムカードのメタルカードとはまた異なるデザインにするという。リニューアルは2027年1月から。
今回の2つのカードの登場で、ダイナースクラブのカードラインナップは申込制のゴールド、同じくプラチナ(従来カード)、そして招待制のプレミアム、完全招待制で999枚限定のロイヤルプレミアムという4種類となった。ラインナップの中から自身のライフスタイルなどにマッチするものを選択できるようになり、同社では、若年層がまずゴールドカードで始めて、ライフスタイルの変化などに応じてより上位のカードに移行してもらうことも期待する。
石田氏は「ダイナースのブランドが持つ本物の体験価値を届けたい。ゴールドだから体験の質を落とすことはしないという点にこだわって開発した」とアピール。今回のゴールドカード開発では、「敷居が高い」という若年層の声もあり、社内の若い世代を含めた様々な声を踏まえて検討してきたと石田氏は話す。
ちなみに同社によれば、ダイナースクラブ本部は米国にあるがすでにカードは発行しておらず、フランチャイズなどで米国外で発行されており、その中でゴールドカードを発行する例は珍しいという。ただ、事前に米国本部に対して、「垣根があって素通りしていた若年層に対し入口を作ってダイナースクラブを体験してもらい、将来の富裕層へステップアップしてもらう」というコンセプトを伝えたところ、賛同を得て今回の発行に至ったそうだ。