デンソー社長、ローム買収を巡り柔軟な姿勢示す
自動車部品大手デンソーの林新之助社長は2026年3月31日、東京都中央区で行われた中期経営計画説明会見において、半導体大手ロームへの完全子会社化を含む複数の買収提案に関して見解を述べた。林社長は「他社と私らの動きを二者択一で考えることではなく、どう技術を交わらせて日本の半導体を強くするかのスタンスに立てば、様々な枠組みが当然排除されるべきではない」と語り、柔軟な対応姿勢を明確にした。
ロームの3社連合合意を受け発言
この発言は、ロームが東芝および三菱電機とパワー半導体事業の統合協議入りに合意したことを受けたものである。デンソーは昨年5月にロームと半導体分野での「戦略的パートナーシップ」を締結しており、昨年9月末時点でローム株の4.98%を保有している。しかし、東芝・三菱電機との3社連合の枠組みが浮上したことで、買収実現の不透明感が高まっていた。
2030年度までの中期経営計画を発表
デンソーは同日、2030年度までの中期経営計画を発表し、半導体事業の強化方針を打ち出した。計画では、半導体で稼ぐ領域を、従来の主軸であった自社製品向けの車載分野から、産業機器や民生機器にも広げる方針を盛り込んでいる。産業や民生分野に強みを持つロームの買収は、この事業拡大戦略に直結するものと位置付けられている。
林社長はさらに、「基幹産業である自動車とどう掛け合わせていくかが、日本半導体の新たな競争力の核心になってくる」と強調した。自動車産業と半導体技術の融合が、日本の競争力を左右する重要な要素であるとの認識を示したのである。
今後の展望と課題
デンソーのローム買収提案は、以下の点で注目を集めている。
- 半導体事業の多角化による収益基盤の強化
- 自動車分野以外での技術応用の拡大
- 東芝・三菱電機との3社連合との調整の行方
日本半導体産業の再編動向は、中国勢の台頭など国際競争の激化を背景に活発化しており、デンソーの動向は今後の業界構造に大きな影響を与える可能性が高い。林社長の発言は、単なる買収合戦ではなく、技術連携を通じた産業全体の強化を志向する姿勢を反映している。



