初の国産クラウド「さくら」が政府クラウドに正式選定
デジタル庁は3月27日、国や地方自治体が利用する共通の情報システム基盤「ガバメントクラウド(政府クラウド)」の提供事業者として、IT企業のさくらインターネットを正式に選定したと発表しました。これまで政府クラウドの提供はアマゾンやグーグルなどの米国IT大手企業に限定されていましたが、今回初めて日本企業による「国産クラウド」が導入されることになります。
デジタル相「国民の安心感にもつながる」と期待
松本デジタル大臣は同日の記者会見で、「国産クラウドが政府クラウドに参入することは、国民の安心感にもつながる重要な一歩だ」と述べ、今回の選定に対する期待を明確に示しました。大臣は、経済安全保障の観点からも国内企業の参入が意義深いと強調し、データ管理の信頼性向上に期待を寄せています。
さくらインターネットの田中邦裕社長は読売新聞の取材に対し、「国産クラウドの技術力と信頼性が高く評価された結果であり、国や自治体における実現可能な選択肢の一つとして貢献できることを誇りに思う」とコメント。同社は2023年に暫定選定を受けて以降、データ保管やセキュリティ対策などの要件を満たすための技術開発を進め、デジタル庁が全要件の達成を確認したことで正式選定に至りました。
選定方式の見直しが国産クラウド導入の契機に
政府クラウドを巡っては、デジタル庁が2021年から2022年にかけてアマゾン、グーグル、マイクロソフト、オラクルの米国IT大手4社を提供事業者に選定していました。しかし、国民の重要なデータ管理を外国企業に依存することに対して、経済安全保障上の懸念が各方面から指摘されていました。
このような背景を受け、デジタル庁は2023年秋に事業者選定方式を見直し、国産クラウドの導入を促進する方針を打ち出しました。具体的には、事業者が数年かけて要件を満たすことを認めるなど選定要件が緩和され、今回のさくらインターネットの正式選定につながりました。この変更は、国内IT産業の育成とデータ主権の確保を両立させるための戦略的な措置と位置付けられています。
さくらインターネットの概要と今後の展望
さくらインターネットは1999年に設立された中堅IT企業で、クラウドサービスを主力事業としています。同社は東京、大阪、北海道にデータセンターを運営しており、2025年3月期の連結売上高は314億円を記録。本社は大阪市に置かれています。
今回の選定により、政府クラウド市場における競争環境が多様化し、国内企業の技術力向上が期待されます。また、国産クラウドの導入は、サイバーセキュリティの強化や国内経済の活性化にも寄与することが見込まれています。今後の展開として、さくらインターネットは政府や自治体向けに高品質なサービスを提供し、デジタル行政の基盤整備に貢献していく方針です。



