高級時計ブランドが新作を一斉に披露する見本市「ウォッチズ&ワンダーズ」が4月、スイス・ジュネーブで開催された。各ブランドは多彩な機能と独自のストーリーを備えた自信作を展示した。
高級時計バブルの終焉と新たな潮流
機械式時計を中心とする高級時計業界は、コロナ禍後半からその直後にかけて「バブルの絶頂期」を迎えていた。旅行や外食などの消費が抑制され、宝飾品と同様に時計が資産として見なされ、大量の資金が流入した。多くのブランドで品薄状態が続き、高級時計を狙った強盗や詐欺事件も発生した。
しかし現在、あるスイスブランドの日本法人トップは「もうバブルは終わった。各ブランドとも必死だ」と語る。そうした中、ここ数年続く重要な傾向が腕時計の小型化である。数年前までは男性用高級腕時計の直径は40ミリ以上が主流だったが、主要ブランドは小ぶりなモデルを相次いで投入している。
各ブランドの小型化への取り組み
今年、ブルガリは看板の人気モデルのケース直径を3ミリ小さくした37ミリの新作を発表した。小型の内部機構の開発には3年を要したという。ヴァンクリーフ&アーペルも、二つの時間帯を示すジャンピングアワーとレトログラードの時計を、8年前の発表時から4ミリ小さい38ミリケースで発表。職人が手掛けたエナメルダイヤルは、角度によって色の表情が変化する。
ビンテージ調と名作のリニューアル
近年の大きな潮流は、ビンテージ調や過去の名作時計のリニューアルである。ケースの小型化もこの流れの一部と見られる。カルティエは1904年発表の定番時計に細かなリンクのブレスレットを採用し、ダイヤルには黒曜石を使用。同ブランドは優れたデザインのアーカイブを多数保有しており、今年は他のモデルでも復刻版が多数発売される。
ゼニスは20世紀半ばの精度競争を彷彿とさせるモデルを発表。また、今年のトレンドとして「スケルトン」ムーブメントも注目されている。透明な文字盤から機械の動きを楽しめるデザインが、若い世代を中心に人気を集めている。
今後の展望
高級時計市場はバブル後の調整期にあるが、小型化やビンテージ復刻、スケルトンといった新たなトレンドが需要を喚起している。各ブランドは独自の技術とデザインで、競争の激しい市場での生き残りを図っている。



