トヨタ自動車は21日、人気ミニバンの「ノア」と「ヴォクシー」の2車種について、10月から台湾から日本に「逆輸入」する方針を発表した。台湾の工場に専用生産ラインを設置し、長期化している納期の短縮を図る。
逆輸入の背景と目的
トヨタはこれまで、日本向けの「ノア」と「ヴォクシー」をトヨタ車体の富士松工場(愛知県刈谷市)で生産してきた。しかし、需要の高まりから納期が長期化しており、顧客への納車待ちが問題となっている。そこで、台湾の既存工場を活用し、両車種を海外生産することで供給力を増強する方針に転じた。
トヨタは「より多くのお客さまに迅速にお届けできるよう、準備を進めていく」とコメントしている。両車種は日本国内と海外の両方で生産されることになり、供給体制の強化が期待される。
台湾での生産体制
トヨタは台湾で主力車種「カローラ」などを生産しており、2025年度の現地生産台数は約12万台に上る。今回の逆輸入に伴い、台湾工場に新たな生産ラインを設け、ノアとヴォクシーの生産を開始する。具体的な生産台数は明らかにされていないが、納期短縮に一定の効果が見込まれる。
トヨタの逆輸入戦略
トヨタはこれまでも逆輸入を積極的に活用してきた。今年4月には、米国で生産したピックアップトラック「タンドラ」とSUV「ハイランダー」を東京で発売した。これは、米国の関税政策による自動車産業への打撃を緩和し、対日貿易赤字の削減に貢献する姿勢を示す狙いがあった。また、日米関係の改善にもつなげたい考えだ。
他メーカーでも逆輸入の動きが広がっている。例えば、スズキはインドで生産した小型SUV「フロンクス」を日本で発売しており、グローバルな生産体制を活用した供給最適化が進んでいる。
今後の展望
トヨタは今回の逆輸入により、ノアとヴォクシーの納期短縮を実現し、顧客満足度の向上を目指す。また、台湾工場の稼働率向上にも寄与する。自動車業界では、関税や地政学的リスクを踏まえた生産拠点の分散化が進んでおり、トヨタの逆輸入戦略はその一環と位置づけられる。



