「ワカメのおにぎり、うまい!」「みそ汁、おかわり~」。4月27日朝8時、東京都三鷹市立中原小学校の教室で、120人の子どもたちが朝ごはんをほおばっていた。月2回開かれている「だんだん・ばぁのあさごはん」。地元のNPO法人が4年前にスタート。朝ごはんを囲み、親でも先生でもない、地域の「大人」と子どもたちとの新たなつながりが生まれている。
全校児童の2割ほどの100人以上が毎回参加
始業30分前、ランドセルを教室に置いた児童たちが、家庭科室などに集まってきた。この日のメニューは、塩むすびとサケ、ワカメ、昆布、しその5種類の小ぶりのおにぎりと、新タマネギ、ワカメ、油揚げが入ったみそ汁。予約なしで、全校児童の2割ほどの100人以上が毎回食べに来る。
「友達と食べると楽しいし、おいしい」と6年生の男子(11)。5個以上をほおばり、友達と話しながらみそ汁をすすった。初めて来た3年生の女子(8)は「いつも朝起きられないけど、今日は頑張って来た」と笑顔。具だくさんのみそ汁に最初は口を付けなかった子も、今ではおかわりするように。2年生の男子(7)は「家でみそ汁は出ない。なんかわかんないけど、ここのはうまい」と2杯を味わった。
教員も一緒に、おにぎりを食べることもある。佐藤勇人校長は「いつも始業前ぎりぎりに来る子が、朝ごはんがある日は早い」。保護者からも「余裕ができる」と喜ばれているという。
「子どもたちが地域に大事にされていると感じてほしい」
「あさごはん」は2022年夏、地域で子ども食堂を開くNPO法人「居場所づくりプロジェクトだんだん・ばぁ」が学校側に提案、実現した。「コロナ禍で学校を休みがちだったり、朝ごはんを食べなかったりする子が目立った。学校に足が向くようになればと考えた」と加藤雅江理事長。原則月2回、月曜や連休明けに実施している。
食材は地域住民からの寄付などでまかない、約10人のボランティアが調理する。5升の米を手分けして炊いて持ち寄り、1時間前から握って、みそ汁も用意する。スタッフの女性(63)は街で子どもに「あ、だんだん・ばぁの人だ」と声をかけられるようになった。「おにぎりの具、何がいい?」と盛り上がったり、「背が伸びたね」と成長を見守るような「顔見知り」が増えた。
三鷹市は学校施設を活用し、子どもの学びや成長に生かす取り組みに力を入れる。市教育委員会の担当者は「地域と学校の信頼関係の積み重ねがあって、続けられている」と話す。
「朝ごはんを通じて、子どもたちが地域に大事にされていると感じてほしい」と加藤さん。子どもの自殺防止のための活動もしており、「子どもにとって、困った時にSOSを出せる大人が一人でも増えたら」と力を込めた。
全国で広がる学校での朝食提供
国の全国学力・学習状況調査では昨年度、朝食を食べない子ども(小学6年生)は6.4%。学校で朝ごはんを提供する取り組みは全国で広がりつつある。
大阪府泉佐野市は2022年度から、朝食をとる習慣付けや、親が共働きなどで子どもが一人で食べる「孤食」解消などを目的に「こども朝食堂」を開始。本年度は市内の全小学校13校で、市が委託したNPO法人など5団体が週2回、パンやうどんなどを希望者に無料で提供している。昨年度の予算は約9700万円。朝食をとる子が増え、子どもから「元気に過ごせる」などの声も出ている。
東京都品川区では昨年度、戸越小など3校で試行実施。週2日、事前登録した27人にパンやおにぎりを提供した。本年度はさらに安定して提供できるよう実施方法を検討中といい、関連経費として、1480万円を予算化している。



