宿泊税導入、栃木県内で加速 那須塩原市が要望書提出、那須町は10月導入へ準備
栃木県内の複数の自治体で、宿泊税の導入に向けた動きが活発化している。那須塩原市では7日、市内の観光・商工関係の8団体で構成される検討委員会が、早期導入を求める要望書を市に提出した。これを受け、市は2026年度内に条例を制定し、国との調整を進める方針だ。一方、先行する那須町は10月1日の県内初導入に向け、実務的な準備を進めている。宇都宮市は4月30日に外部有識者を含む検討委員会を設置し、県も検討に着手する意向を示している。
那須塩原市の要望書の内容
那須塩原市への要望書では、宿泊税を「定額200円」と提言。市内には塩原、板室の温泉街の旅館のほか、東北新幹線那須塩原駅周辺のビジネスホテルなど多様な宿泊施設が存在し、公平性と分かりやすさから同一料金が妥当だとしている。また、事務負担を軽減できるメリットも指摘されている。対象となる宿泊者数(小学生以下や修学旅行生を除く)は年間90万人、税収は約1億8千万円を見込む。税は基金に積み立て、観光振興と地域資源の磨き上げに特化して活用することを求めている。
那須塩原市長のコメント
同市では、コロナ禍の誘客施策を巡り、推進を求める観光業界と慎重な他業界で賛否が分かれた経験がある。要望書を受けた渡辺美知太郎市長は「宿泊税は思い入れの強い事業」と積極姿勢を示しつつ、「市内でもさまざまな立ち位置の人がいる。市全体が潤う投資について考える機会にしたい」と述べた。検討委員会の田代茂樹委員長は「使い道の透明性を高めて、市内で温度差が出ないように気を配ってほしい」と求めた。
那須町の準備状況
10月導入に向けて準備を進める那須町は、昨年6月に条例案を可決し、9月に総務相の同意を得た。現在は宿泊施設の登録などの準備を進めるとともに、レジシステムの改修費補助金の申請を受け付けている。補助額は100万円を上限に、改修経費の2分の1を補助する。
同町の宿泊税は、朝・夕食代などを除いた素泊まり宿泊料金に応じて段階的に税額を設定する仕組みで、1万円未満の100円から10万円以上の3千円までの6段階となっている。年間税収は約3億円を見込む。同町の昨年の宿泊数は約205万7千人で、うち外国人は1万3593人。宿泊税の収入は、観光施設の修繕などのインフラ整備のほか、周遊バス運行などの受け入れ環境整備、人材の育成・確保といった産業基盤強化に活用する方針だ。
宇都宮市の検討状況
検討委員会を設置した宇都宮市は、まちづくりに関する有識者を含む8人を委員に委嘱した。準備が整い次第、第1回の会議を開催する。宿泊税を財源とする観光振興施策のほか、制度内容や導入支援策を議論する方針だ。同市の昨年の宿泊者数は約193万人で前年比2.1%増、うち外国人は7万8791人で同26.9%増だった。
県の対応
県も「観光振興のため一定の財源確保は重要」として、検討を進める方針。福田富一知事は4月30日の定例会見で近く検討会議を設置する意向を示した上で、「宿泊客の多い自治体だけでなく、少ない市町からも検討委員を選び、期限を設けずに幅広く議論して合意点を探してほしい」と語った。



