志賀原発差し止め請求棄却、富山地裁が株主訴訟を退ける 原告側は「ずさん判決」と批判
志賀原発差し止め請求棄却 富山地裁が株主訴訟を退ける

志賀原発の運転差し止め請求を棄却 富山地裁が株主訴訟を退ける

北陸電力の株主らが志賀原子力発電所1号機および2号機(石川県志賀町)の運転差し止めなどを求めた訴訟において、富山地方裁判所(矢口俊哉裁判長)は2026年3月4日、株主らの訴えを退ける判決を言い渡しました。この判決を受け、原告側は「起こり得る現実に真剣に向き合った判決とは到底思えない」と強い不満を表明しています。

訴訟の経緯と原告側の主張

本訴訟は2019年に提訴されました。北陸電力が2号機の再稼働に向けた審査を原子力規制委員会に申請した5年後、富山県と石川県の株主らが取締役らを相手取って起こしたものです。

原告側は、原発の安全性や経済合理性について必要な調査や分析を十分に行わずに再稼働を決定したことは、取締役に求められる善管注意義務に反する違法行為だと主張。その結果、「北陸電力に回復不可能な損害が生じる恐れがある」と訴え、運転の差し止めなどを求めてきました。

判決の内容と裁判所の判断

しかし、富山地裁の判決は原発の安全性について、取締役が専門家に検討させた結果を基に再稼働の可否を判断すれば、注意義務違反などがあるとは言えないとしました。原子力規制委員会の審査で求められる安全対策を実施することで、重大事故の発生を防止する義務を果たしていると結論づけたのです。

さらに、2024年元日に発生した能登半島地震を踏まえても、この判断が変わらないことを明言しました。裁判所は、規制委の審査プロセスを尊重し、適切な安全対策が講じられている限り、事業者の責任は果たされていると判断したのです。

原告側の反応と今後の展望

判決後、原告側の岩淵正明弁護団長は記者会見で「原発の安全神話が復活したような、ずさんな判決だ」と憤りを露わにしました。さらに、「最終的に原発の安全性の責任を負うのは事業者(電力会社)だという主張が完全に無視されている」と非難の声を上げています。

原告らは判決を「再稼働ありきの判断」と指摘し、今後の対応を慎重に検討する方針です。この訴訟は、原子力発電所の再稼働を巡る司法判断の在り方に一石を投じる事例として、今後の議論を呼ぶ可能性があります。

北陸電力側は判決を真摯に受け止めるとともに、安全性の確保に万全を期す姿勢を示しています。一方で、地域住民や株主からの懸念の声は根強く、今後の原子力政策を巡る対立が続く見通しです。