ホルムズ海峡封鎖で石油供給に懸念、政府は備蓄を根拠に「当面支障なし」と表明
ホルムズ海峡が封鎖されたことにより、輸入原油の9割以上を中東地域に依存する日本への安定供給が懸念されている。政府は石油備蓄を根拠に、当面の供給には支障がないとの認識を示し、現時点で備蓄を放出する予定はないと説明している。ただし、イランを巡る戦闘が長期化した場合には、放出する可能性もあるとしている。
石油備蓄制度の仕組みと政府の対応
石油備蓄法に基づき、昨年12月末時点で国内には計254日分の石油備蓄がある。この法律は第1次石油危機を契機に1975年に制定され、民間事業者に基準量以上の備蓄を義務付けている。輸入量が不足したり、災害が起きたりして、国内の石油供給に支障が出る恐れがある場合に、備蓄した石油を放出できると定められている。
備蓄は3種類に分かれており、国が大半を原油の状態で保有する「国家備蓄」が146日分、石油精製業者などが石油製品の在庫として保有するケースが多い「民間備蓄」が101日分、産油国と協力して日本国内で保有する「産油国共同備蓄」が7日分となっている。石油の備蓄基地は全国に分散して設置されており、エネルギー安全保障の強化に貢献している。
政府の見解と国際協調の重要性
赤沢経済産業相は3日の閣議後記者会見で、備蓄の放出について「価格抑制を目的とするものではなく、石油の供給不足が生じる事態に石油の安定的な供給を確保する目的で行うものだ」と述べた。この発言は、現状では供給不足に陥っていないため、放出を見送る判断を示している。
世界的な供給力不足が懸念される際には、過去にも放出が行われた。2022年にはロシアのウクライナ侵略開始を受け、日本政府は国際エネルギー機関(IEA)加盟国と協調し、初の国家備蓄放出に踏み切っている。日本エネルギー経済研究所の小山堅首席研究員は、「最悪の事態に備え、国際協調のための議論をIEAや様々な国と行い、連携して対応していくことが重要だ」と指摘している。
経済産業省は2日、「イラン情勢を踏まえたエネルギー対策本部」を設置した。これは、エネルギー安定供給に与える影響や石油市場の動向を把握し、迅速な対策を検討するための組織である。政府は継続的に情勢を監視し、必要に応じて柔軟な対応を取る方針を示している。
ホルムズ海峡の封鎖は、中東情勢の緊迫化を反映しており、日本のエネルギー安全保障にとって重大な課題となっている。政府は備蓄制度を活用しながら、国際社会との連携を強化し、供給リスクへの備えを進めていく見込みだ。



