南鳥島が核のごみ処分場候補に 文献調査申し入れ、専門家「日本で最適の地質」
南鳥島が核ごみ処分場候補に 文献調査申し入れ

南鳥島が核廃棄物処分場候補地に浮上、経産省が文献調査を正式申し入れ

原子力発電所から発生する高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、経済産業省は3月3日、東京都小笠原村に対し、村内に位置する南鳥島での第1段階文献調査受け入れを正式に申し入れた。この調査が実現すれば、北海道の寿都町と神恵内村、佐賀県玄海町に続き全国で4例目の候補地となる。経産省と資源エネルギー庁は、3月14日と15日に小笠原村の父島と母島で住民説明会を開催し、理解促進に努める方針だ。

自治体首長の反応と国の姿勢

申し入れ書を受け取った渋谷正昭・小笠原村長は「村民や村議会の意見を踏まえながら判断していく」と慎重な姿勢を示した。東京都の小池百合子知事も報道陣に対し、「村長がどのように対応されるのか注視したい」と述べ、状況を見守る考えを明らかにしている。

赤沢亮正経済産業大臣は同日の会見で、「地域の理解なくして進めることは困難であり、協力が得られるよう説明を尽くす」と強調。国として丁寧な説明を重ねていく意向を表明した。

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南鳥島の地質的特性と選定理由

南鳥島は東京都心から南東約1950キロに位置する日本最東端の島で、面積は約1.5平方キロと皇居とほぼ同じ広さ。一般人は原則上陸できないが、防衛省や気象庁の施設に職員が駐在している。

国が2017年に公表した全国の適地マップでは、南鳥島について火山や活断層から遠く、「輸送面でも好ましい」と前向きに評価。東海大学海洋研究所の平朝彦所長は、「南鳥島は太平洋プレート上にあり、地震や火山活動が起きにくく地質的に極めて安定している。数百メートルのサンゴ礁層の下に均一な玄武岩層が続く。日本で南鳥島以上の場所はない」とその適格性を指摘する。

調査の内容と交付金、そして課題

最終処分場選定調査は3段階に分かれており、第1段階の文献調査は既存資料の分析が中心で、現地調査は行わない。調査を受け入れた自治体には最大20億円の交付金が支給される仕組みだ。

しかし、南鳥島を処分場として実際に建設する場合には課題も存在する。島の面積が狭いため、地下掘削で発生する土砂の置き場確保が困難となる可能性がある。資源エネルギー庁の担当者も「建設には1〜2平方キロが必要とされ、工夫が求められる。調査が始まれば具体的な検討に入る」と説明している。

背景にある核燃料再処理の現状

核のごみは使用済み核燃料の再処理過程で排出されるが、青森県の再処理施設建設は完成が延期を重ねており、運用開始の見通しが立っていない状況が続いている。このため、最終処分場の選定が急がれる一方で、処理プロセス全体の不確実性も課題として残されている。

今後の展開と地域の選択

経産省は2月9日、小笠原村に対して最終処分の必要性や調査内容について説明する機会を依頼し、村側がこれを受諾していた。村民が文献調査を受け入れるかどうかは未定であり、今後の住民説明会での議論や村内の合意形成が重要な焦点となる。

2023年5月には、静岡県の当時の川勝平太知事が小池都知事に対し、南鳥島を処分場候補地とするよう提案するなど、他地域からの関心も高い。南鳥島周辺の海底にはレアアースを含む泥が存在することが確認されており、資源開発の観点からも注目を集めている。

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