規制委検査官が川内原発で「恫喝的」主張 技術的根拠示さず九電に謝罪
原子力規制委員会の検査官が、九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の運転監視中に、技術的な根拠を示さずに恫喝的な主張をした問題で、規制委が九電に謝罪していたことが明らかになった。規制委は検査官に対し、根拠を示して冷静に指摘するよう指導を実施した。
検査官の主張が「恫喝的」と指摘される経緯
規制委によると、検査官は昨年秋ごろ、川内原発におけるケーブルの絶縁体の測定方法について、九電の担当者と意見が対立した際に問題が発生した。検査官は技術的な根拠を提示せずに自らの主張を押しつけるような態度を取り、「恫喝ともとれる言い方」をしたという。
さらに、説明を求めながら「説明は聞くが、自分の考え方は変えない」といった発言も繰り返し、九電側に混乱と負担を強いた。このような行動は、原子力施設の安全監視において適切な議論を阻害するものとして批判を浴びている。
九電からの苦情と規制委の対応
今年2月、九電は規制委に対して正式に苦情を申し立てた。内容としては、「検査官の主張に沿った対応のために複数の担当者がかかりきりになり、業務にかなりの負担が生じた」と指摘。技術的見解が異なる場合でも、根拠に基づいた建設的な議論を求める要望を伝えた。
これを受けて規制委は、双方の主張を詳細に聞き取り調査を実施。検査官の行動が不適切であったと判断し、九電に対して謝罪を行った。同時に、検査官に対しては今後の監視活動において、技術的根拠を明確に示し、冷静かつ客観的な指摘を行うよう厳重に指導した。
原子力安全監視の在り方に一石
この問題は、原子力規制の現場におけるコミュニケーションの重要性を浮き彫りにした。規制委は、安全確保のためには電力会社との対話が不可欠であり、威圧的な態度はむしろ安全文化を損なうリスクがあると認識している。
今後、規制委は検査官の教育強化を図り、同様の事案が再発しないよう対策を講じる方針だ。一方、九電は謝罪を受け入れつつも、技術的議論の透明性向上を引き続き求めていく構えを示している。
川内原発は現在、規制委の監視下で運転を継続しているが、この問題を機に、規制当局と事業者間の協力関係の再構築が注目される。
