忍び寄る「肥料クライシス」中東情勢の余波が農家直撃 価格高騰と供給不安
忍び寄る肥料クライシス 中東情勢の余波が農家直撃

中東情勢の悪化が、コメや野菜の生産に不可欠な肥料に深刻な影響を及ぼしている。特に、葉や茎の成長を促進する窒素系肥料の尿素は、天然ガスや原油由来のアンモニアから製造されるため、産油国での生産量が多く、ホルムズ海峡の封鎖によりサウジアラビアやカタールといった主要産地からの供給が滞っている。

日本の尿素供給の現状

日本は尿素の97%を輸入に依存しているが、その大半はマレーシアやベトナムからの輸入であり、ホルムズ海峡封鎖の直接的な影響は限定的だ。全国農業協同組合中央会(JA全中)によると、4月上旬に各地のJAに影響を調査した結果、当面の農作物生産に必要な肥料は確保できているという。

国際価格の高騰

しかし、国際市場での尿素取引価格は1月から4月にかけて倍以上に上昇した。これは、輸出の3割から4割強を占める中東産の供給が滞り、価格を押し上げているためだ。日本の輸入尿素の通関価格も3月には1トンあたり9万3100円となり、前月比で約2割上昇。ロシアによるウクライナ侵攻が始まった2022年以来の高値水準に達している。

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政府の対応

鈴木憲和農林水産相は5月初旬にマレーシアを訪問し、尿素を製造する国営企業ペトロナスの幹部と会談。鈴木氏によると、尿素の安定供給の確約を得たほか、長期契約の検討も依頼したという。

他の肥料への波及

尿素以外にも、日本がほぼ全量を輸入に頼るリン酸やカリウム系肥料は、原油価格高騰による輸送コスト上昇で国際価格が上昇傾向にある。さらに、原油由来のナフサを原料とする農業資材も調達が難しくなってきており、中東情勢の悪化が長引けば生産現場にじわじわと打撃を与える可能性がある。

JA関係者の見解

JA関係者は「肥料値上げせざるを得ない」と述べ、国内で流通する肥料の過半を占めるJA全農も値上げの必要性を認めている。このまま状況が改善しなければ、農家の経営を圧迫し、食料価格の上昇につながる恐れもある。

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