浜岡原発データ不正で再稼働白紙、年間1000億円の維持費負担続く
浜岡原発データ不正、再稼働白紙 維持費年1000億円

静岡県御前崎市に位置する中部電力浜岡原子力発電所が、東日本大震災後の政府要請を受けて全面停止してから、14日で15年を迎えた。再稼働に向けた手続きは、耐震設計の根幹を揺るがす基準地震動のデータ不正発覚により、白紙に戻ってしまった。出口が見えない状況の中でも、巨額の維持費が投じられ続けている。

新中期経営計画から「再稼働」の文言が消える

中部電力の林欣吾社長は4月28日、名古屋市内で開いた決算記者会見で、「今やらなければいけないのはデータ不正問題の事実解明と原因の究明に積極的に全力で協力すること、解体的再構築に向けた議論を進めることだ」と述べた。同日発表した新中期経営計画の骨子からは、過去の計画にあった浜岡の「再稼働」の文言が消えた。2014年の審査開始からの積み重ねがデータ不正によって崩れ去った形だ。

現在、外部専門家による第三者委員会が実態の解明と背景の調査を進めているが、調査報告の時期のめどは立っていない。原子力規制委員会による検査も年単位の時間を要する見通しで、再稼働に向けた浜岡の時計は止まったままだ。

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年間1000億円規模の維持費が経営を圧迫

今回発覚した不正は、原発の安全性を担保する「基準地震動(想定される最大の揺れ)」の策定過程で行われた。不適切な手法は、遅くとも審査申請前の2012年には始まり、2018年からは、あらかじめ決めた特定のデータに整合させるよう、膨大な計算結果から後付けで数値を組み合わせる操作がなされていた。

不正による停滞がもたらす経済的負担は、グループ全体の収益構造に負荷をかける。浜岡原発の維持管理や安全対策にかかる「原子力発電費」は、2025年度に1015億円に達した。停止から15年間の累計は約1兆5000億円に上る。再稼働が白紙となった今、さらに審査が長期化すると仮定すると、再稼働までの間、年間数百億から1000億円規模の維持費が計上され続ける可能性がある。

地元では再稼働を望む声も

不正発覚後の決算発表資料には、再稼働が遠のいたことで、浜岡に投じた原子力関連の資産が、将来的に発生すると見込まれる電気販売の収入で回収できないと判断される「減損」リスクへの言及がある。3~5号機が再稼働した場合に中部電力が見込んでいた年2500億円(2025年度の燃料価格で試算)の収支改善効果も遠のく。それでもなお、同社は「回収可能性はある」と強調する。

一方、市場は皮肉な反応を見せている。1月の不正公表直後から、株価は2割以上上昇。人工知能(AI)により電力需要が増加することへの期待に加え、審査停滞に伴って安全対策工事などの巨額投資が事実上の休止状態となったことが好感された可能性がある。

経済的な面から、地元には再稼働を望む住民が多い。浜岡はそんな期待に応えるのか、それとも中部電力の経営に打撃を与える「負の遺産」となるのか。第三者委員会の調査報告が次の大きな節目となりそうだ。

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