フジテレビをめぐる一連の問題では、企業が一斉にテレビ広告の出稿を見合わせる異例の動きが発生しました。一時的に激減したフジテレビへの広告出稿は、以前の水準に戻りつつあるものの、今回の問題は日本企業の姿勢にどのような変化をもたらしたのでしょうか。ビジネスと人権に詳しい蔵元左近弁護士に話を聞きました。
フジテレビ問題が企業に与えた影響
元タレントによる性加害問題への対応がずさんだったことで、フジテレビの人権意識や企業統治が問題視され、スポンサー離れが広がりました。日本企業は、取引先の人権リスクをより重視するようになったのでしょうか。
「重視するようになったというより、重視せざるを得ない場面が増えた、というところではないでしょうか。フジテレビへの対応をみても、能動的に動いた少数の企業と、受動的に反応した多数の企業に分かれます。能動派の例としては、キリンホールディングス(HD)があります。フジテレビに対し、人権方針にのっとった改革や再発防止策を働きかける姿勢を示し、広告出稿の再開条件も明らかにしました」と蔵元弁護士は述べます。
「一方、多くの企業は、取引先の企業でも人権侵害があれば救済のために介入していく『ビジネスと人権』の考え方に沿ったというより、依然として『炎上リスク』と『広告効果』をてんびんにかけて判断しているように見えます」と指摘します。
メディア不祥事への企業の態度変化
広告の出稿先となるメディアで、不祥事や人権上の問題が生じた場合の企業の態度には、変化があるのでしょうか。
「ほとんど変化していないように思います。フジテレビ問題では、多くの企業が一時的に広告を差し控えましたが、それは本質的な人権意識の高まりというより、世間の批判を避けるための防衛的な対応でした。問題が沈静化するにつれ、広告出稿を再開する企業が相次いでいます。真の意味で『ビジネスと人権』の考え方が浸透しているとは言い難い状況です」と蔵元弁護士は分析します。
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