トヨタ自動車は2026年5月8日、2026年3月期決算(25年度)を発表しました。売上高は日本企業として初めて50兆円の大台を突破しましたが、米トランプ政権による自動車関税や中東情勢の緊迫化が業績に影を落としています。同日のオンライン会見で、近健太社長は黒字確保の目安となる「損益分岐台数」の引き下げに向けた取り組みを継続する方針を示しました。会見の主なやりとりをまとめました。
25年度の総括について
近社長「非常に大きな環境変化がある中で、3兆8千億円近い営業利益を上げることができました。先人やステークホルダーの皆様に感謝したいと思います。成長投資もブレーキを踏まずに続けられます。損益分岐台数は上昇にまだ歯止めがかかっていませんが、中長期的な対応を続ければ必ず効果が出てくると確信しています」
損益分岐台数の引き下げ方法
近社長「まずはハイブリッド車(HV)を待っているお客様にしっかりと車をお届けすることが一番の使命です。生産車種の見直しについては、マルチパスウェイ(全方位戦略)によって車の種類が増え、部品や仕様が増加して逆に分かりにくくなる面があります。そういった点をしっかり見極めることで、かなり大きな効果が出てくると考えています」
中東情勢とトランプ関税の影響
記者「中東情勢の緊迫化やトランプ関税が業績に与える影響について、どのようにお考えですか?」
近社長「中東情勢については、全社を挙げて対応を進めています。影響をはね返すまではしっかりと対策を講じていきます。トランプ関税に関しても、コスト削減や生産体制の見直しなど、あらゆる手段を検討しています。50兆円という売上高を意識せず、一歩一歩着実に取り組むことが重要だと考えています」
今後の見通し
記者「26年度の業績見通しは?」
近社長「22%減益で3年連続の減益を予想していますが、これは中東情勢や関税の影響を織り込んだものです。ただし、成長投資は継続し、中長期的な競争力強化を図ります。損益分岐台数の引き下げに加え、新技術の開発や生産効率の向上に努め、収益基盤を強化していきます」
マルチパスウェイ戦略の課題
記者「全方位戦略の課題は?」
近社長「車種が増えることで部品や仕様が複雑化し、生産効率が低下するリスクがあります。そのため、車種の整理や共通化を進め、シンプルで効率的な生産体制を構築することが重要です。お客様のニーズに応えながら、収益性を高めるバランスを追求します」
トヨタは、中東情勢の緊迫化やトランプ関税という逆風の中でも、成長軌道への復帰を目指して対応を強化しています。今後の動向が注目されます。



