東芝がHDD生産能力を強化、AI時代のデータ需要に対応
東芝がHDD生産能力を強化、AI時代のデータ需要に対応

東芝デバイス&ストレージは10月2日、データセンター向け大容量ストレージ「ニアラインHDD」の生産ラインを増強したと発表した。生成AIやクラウドサービスの拡大に伴うデータインフラ需要を取り込む考えだ。

フィリピンの工場に新たな生産ラインを増設

新たな生産ラインは、フィリピンにある同社子会社の東芝情報機器フィリピンが運営する「ラグナ・テクノパーク工場」に設けた。PC向けHDDの製造拠点だった同工場に、新たな生産ラインを増設し、10月2日に同設備初となるニアラインHDDを出荷した。

東芝デバイス&ストレージは「クラウドサービスの普及、動画コンテンツの配信拡大、膨大なデータを活用するAIやデータサイエンスの導入などにより、世界で生成・蓄積されるデータ量が加速度的に増加している」として、データの保管先であるデータセンターで大容量のストレージが求められていると説明している。

ニアラインHDDの役割と需要拡大

データを保存する方法はいくつかある。金融取引やECサイトの在庫管理など、頻繁にデータを読み書きする用途には「オンラインストレージ」を使うことが多い。代表例は「SSD」(Solid State Drive)で、データに高速にアクセスできるが、価格が高い。

数年前のバックアップデータなど、頻繁にアクセスしないデータは「オフラインストレージ」に記録することが多い。CDなどの光ディスクや磁気テープがこれに当たり、大量のデータを安価に保存できる。

オンラインストレージとオフラインストレージの間に当たるのが「ニアラインストレージ」だ。業務データのバックアップ、クラウドストレージの基盤など「SSDのような性能は不要だが、大量のデータにいつでもアクセスしたい」という用途で利用されている。大容量の割に低価格なHDDが主流となっている。AIブームを受けて企業が扱うデータ量が増大する中、HDDの需要は伸びているという。

2027年度に生産能力を約2倍へ

HDD需要の高まりを受けて、東芝情報機器フィリピンは生産能力の強化を続ける。2027年度には、記録容量ベースの年間生産能力を2025年度比で約2倍に拡大する考えだ。

合わせて、エンジニアなどの人材の採用や育成に力を入れる。同社は「東芝グループのHDD製造拠点として、AI時代のデータインフラを支える」と意気込んでいる。