核ごみ文献調査受け入れ表明の茨城・常陸大宮市長「懸念や不安払拭に時間」
核ごみ調査受け入れの常陸大宮市長「不安払拭に時間」

経済産業省による原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の文献調査申し入れから1カ月。茨城県常陸大宮市の鈴木定幸市長が30日、受け入れを表明した。市内には地域活性化に期待する声がある一方、住民向けの説明会を開かないなど、市側の対応に批判も残る。

受け入れ表明の決め手は「消滅可能性都市」

市長は申し入れから1カ月での受け入れ表明について「もう少し早く判断したかった」と振り返る。「文献調査は私の認識としてはスタートラインに立つ前という認識だったが、メディアの皆さんがいろんな報道をされ、市民に懸念や不安とか、湧き上がってきて、多少なりともそこを払拭(ふっしょく)するような形で今日に至ったと思う」と話した。

受け入れを判断した決め手について、市長は「常陸大宮市は消滅可能性都市という位置付け。文献調査を否定したら、可能性を私たちの代で断ち切ってしまう。『決断をする選択肢を今の我々が奪ってしまっていいのか』と考えた」と説明した。

周辺自治体への説明と風評被害への考え

周辺自治体への説明については「常陸大宮市民への説明が先決。経済産業省などとも連携を取りながら、周辺自治体の方々にも説明の機会を設けていく。栃木県の知事が心配しているのであれば、いつでもうかがう」と述べた。

風評被害について市長は「東日本大震災での福島第一原発の事故後のような風評被害は想定する必要はない」としつつ、「風評被害が起きたり、移住しようとしている人が誤った情報でためらったりすれば、間違いなくデメリットだ」と語った。

住民説明会を開かなかった理由と今後の対応

この間、住民説明会を実施しなかったことについては「文献調査は地域の方々とのコミュニケーションの始まり。(文献調査の)2年間でしっかり理解してもらえるまで説明をしようと思っている。文献調査をしても必ずしも概要調査に進む必要はない。引き返せる段階で、トップダウンで決め、その後しっかりと市民の皆さんに説明をする」と述べた。

概要調査へ進む前に市民からどう意見を聴くのかについては「概要調査は処分場誘致の第一歩だ。住民投票などの何らかの形を取るべきだと思う」と語った。

受け入れ表明までの経緯

常陸大宮市への取材などによると、これまでの経緯は以下の通り。

  • 8月10日 住民有志が「市存続のための起爆剤が必須」などとして、原子力発電環境整備機構(NUMO)に文献調査実施の要望書を提出
  • 8月21日 経済産業省が市に文献調査など説明したいというお願い
  • 8月31日 経産省が市に調査の申し入れ
  • 9月1日 鈴木定幸市長が市議会本会議で調査申し入れがあったことを報告
  • 9月4~16日 議員協議会が非公開で3回開催。経産省やNUMOが市議に調査の内容説明。市議が意見表明し、議長が市議の意見を伝達
  • 9月18日 市長が9月議会中の判断表明を先送り
  • 9月29日 市長が赤沢亮正経済産業相と面会
  • 9月30日 市長が受け入れ表明