茨城県常陸大宮市の鈴木定幸市長が、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物(HLW)の地層処分候補地探しの第1段階である文献調査の受け入れを表明した。北海道の寿都町、神恵内村、佐賀県玄海町、東京都小笠原村の南鳥島に続く5例目で、国の申し入れを受けての対応は小笠原村に続いての2例目だ。
本州初の受け入れと常陸大宮市の特徴
文献調査の受け入れは本州で初めてでもあり、首都東京などを抱えて大電力を消費する関東地方の自治体が加わった意味は大きい。常陸大宮市には、これまでの調査地域と異なる特徴がある。人口は約3万5千人で、先行する4町村を大きく上回る。しかも海に面していない初めての自治体だ。候補地域の地理的、社会的な多様性が広がることを歓迎したい。
市長の説明と文献調査の本質
鈴木氏は記者会見で、地層処分に向けた取り組みは喫緊の国家的課題で、国策への貢献に「大きな意義が見いだせる」と語った。鈴木氏は同市広報9月号でも文献調査の位置づけについて、地層処分施設の建設に至る道筋の中では「スタートラインの手前の調査で、この調査をクリアした段階で、初めてスタートラインにたてるという意味合いの調査」と説いている。
鈴木氏の言葉は文献調査の本質を平明に表現している。文献調査は既存の地質資料などを調べ、地域が処分地として検討に値するかを科学的に確かめる入り口である。国はこの大原則を国民と全国の市町村長、知事に改めて明確に伝えるべきだ。
国への課題と今後の展望
また国は、常陸大宮市の文献調査受け入れで一息つくことなく第6、第7の調査地域の獲得を急がねばならない。少数の自治体の負担が大きくなるのを避け、複数地域を同時並行で比較可能にすることが必要だ。事業主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)には、常陸大宮市内だけでなく、周辺自治体にも早い段階から説明を広げてもらいたい。
同市は「核のごみ」とも言われるHLWを陸揚げする港を持たない内陸自治体であるだけに、そうした配慮が重要だ。50年の歴史がある地層処分の研究では、数万年にわたってHLWを封じ込める人工バリアなどに関して目覚ましい進歩が達成されている。高度技術の分かりやすい説明も望まれる。