福岡県田川市の村上卓哉市長(55)に対し、市長秘書だった50代の女性職員がセクハラ被害を訴えた問題で、職員の代理人である世良洋子弁護士が18日午後に記者会見を開き、職員の手記を公表しました。同日朝に公表された第三者調査委員会の報告書は、公用車内での手を握る行為やその後の性交渉など四つの行為について、「セクシュアルハラスメントに該当すると判断せざるを得ない」と結論づけました。
職員は手記の中で、「私の訴えをほぼ認めていただいて、ほっと安心いたしました」と述べる一方、「簡単に声を上げたのではありません。苦しみ悩んで公表したことです」と強調しました。また、報告書が田川市について「被害の声を上げづらい、市長に逆らうことはできないという組織風土」が存在すると指摘したことにも触れ、「再発防止に向けた提言を受け、市には変わってほしいと心から願っています」と記しました。
手記に込められた苦悩
手記によると、職員は昨春に被害を公表した後、市職員との関わりの中で「わかってくれる人がいないつらさ、話していて逆に傷つくつらさがいまだにあります。こういう被害に遭わなければよかったとの思いも拭えません」と胸中を明かしています。また、「元通りには戻れないんじゃないかとの思いがありますが、このように認めていただいたことで、前を向いて歩いていけるのではないかと思います」と前向きな姿勢も示しました。
昨年2月の週刊誌報道で、市長は不倫関係にあったとして謝罪しましたが、職員の代理人は「力関係の下で断り切れず交際に至ったものであり、セクハラだった」と訴えていました。職員は報道後、友人から「ハラスメントではないか」と指摘され、弁護士に相談したといいます。
時間経過への批判に反論
時間が経ってから被害を訴えたことについて、世良弁護士は「後付けの理屈なんじゃないかとか、都合が悪くなって急に訴えだしたんじゃないかとか、それは偏見です」と否定。報告書が性犯罪に関する法務省の実態調査や精神科医への聴取などを踏まえ、「第三者から指摘されて初めて過去の両者の関係性を客観的に捉えられるようになったという経過も、不自然ないし不合理と考えることはできない」と結論付けたことを評価しました。
世良弁護士は報告書について「原因分析と再発防止に向けた提言が大変貴重なもの」と述べました。報告書は問題の原因として、「市長の権限や秘書の立場に対する認識が不十分なまま行動をエスカレートさせていったこと」を挙げ、勤務時間外にLINEなどで制約なく多数のやりとりがなされていたと指摘し、再発防止に向けたルール設定の必要性を強調しています。
手記全文
職員が公表した手記の全文は以下の通りです。
第三者委員会の報告書を読みました。
ここまで来るのは本当に長かったです。
簡単に声を上げたのではありません。苦しみ悩んで公表したことです。
怖かったですし、公表したことが正解だったのかを悩んだ時期もありました。
しかし、結果的に、第三者委員会に私の訴えをほぼ認めていただいて、ほっと安心いたしました。
元通りには戻れないんじゃないかとの思いがありますが、このように認めていただいたことで、前を向いて歩いていけるのではないかと思います。
もし1年前に被害を訴えないままでしたら、一生後悔していたと思います。自分を責め続け、後ろめたい気持ちで生活していたかもしれません。
公表後、市役所職員と接する中で、私が受けたセクハラ被害について本当にはわかってくださっていないのではないかと思ったことがありました。
わかってくれる人がいない辛(つら)さ、話していて逆に傷つく辛(つら)さがいまだにあります。こういう被害に遭わなければよかったとの思いも拭えません。
第三者委員会の調査報告書では、「セクシュアルハラスメント被害の声をあげづらい、市長に逆らうことはできないという組織風土」の存在が指摘されました。第三者調査委員会からの再発防止に向けた提言を受け、田川市役所には変わってほしいと心から願っています。
令和8年5月18日 田川市職員A



