大工不足解消へ新たな試み 千葉・香取に職人学校が開校
千葉県成田市の老舗工務店「ハウジング重兵衛」が、香取市に設立した大工職人学校「JMCA(ジャパン・マルチ・クラフター・アカデミー)」が、全国から若者を集めている。この学校は、未経験者でも30日間の集中プログラムで大工技術を習得できる画期的な取り組みとして注目を浴びている。
従来の育成法を短縮 短期間で実践スキルを習得
JMCAでは、入校者が30日間寮に泊まり込み、ベテラン大工の指導のもとで技術を学ぶ。プログラムの中心は、水回り工事の基本となるトイレ交換だ。生徒たちは、居間や玄関を再現した「モデルルーム」で実践的な練習を重ねる。
例えば、2月初旬の授業では、生徒が大工役と客役に分かれ、トイレ交換のシミュレーションを実施。大工役の生徒は「お客さま、水が使えるようになりました」と声をかけながら、手際良く作業を進めた。このような実践的な訓練を通じて、現場で即戦力となるスキルを養う。
全国から集まる多様な背景の生徒たち
現在、生徒は20代が中心で、北海道、広島、茨城など全国各地から参加している。建設会社の営業職や現場監督、ガス会社の社員など、職種も多様だ。
- 佐々木隼人さん(28):建設会社の営業職。職人志望だが、勤務先に教え手がおらず入校。
- 内山空さん(23):現場監督。同様に職人としての技術習得を目指す。
- 吉田渋稀さん(22):ガス会社の営業職。トイレリフォームの営業に役立つとして、上司から勧められた。
佐々木さんは「職場に戻ったら、職人として頑張りたい」と意気込みを語る。
大工不足の深刻化が背景 就業者数が20年間で半減
総務省の国勢調査によると、大工の就業者数は2000年の64万7千人から、2020年には29万8千人と半減している。さらに、60歳以上の割合が43%を占め、今後も減少が続くと予想される。
ハウジング重兵衛でも、大工不足が深刻な課題となっていた。同社は1899年創業の老舗で、2002年ごろから住宅リフォーム事業に注力。当初は個人事業主の大工に頼っていたが、業績拡大に伴い質の低下や問題行動が発生。2015年ごろから優秀な大工の社員登用を開始し、2019年には新卒採用にも乗り出したが、依然として人手不足は解消されなかった。
学校設立で育成ノウハウを共有 多能工職人の育成も目指す
こうした課題を受け、同社は2024年2月、香取市の小学校廃校舎を活用してJMCAを開校。自社での育成ノウハウが不足する建設会社などからも入校希望が相次ぎ、これまで北海道から宮崎県まで約30人が学んでいる。
理事長の福地俊之介さん(42)は「大工の怖いイメージを変え、お客様から愛される職人を育てたい」と語る。同校では、大工だけでなく、水道や電気工事もこなせる「多能工職人」の育成も視野に入れている。
福地さんは「世の中の職人不足の解決に役立ちたい」と力を込め、伝統的な徒弟制度に代わる新たな育成モデルとして期待が寄せられている。



