ロンドン・ファッションウィーク2026秋冬で若手デザイナーが革新を示す
2026年2月中旬から下旬にかけて、ロンドン・ファッションウィーク(LFW)2026年秋冬シーズンが開催されました。このイベントでは、過去のファッション史を再解釈するだけでなく、未来を切り開く若手デザイナーたちの活躍が特に目立ちました。
注目を集めた新人とブランドの新展開
新人デザイナーのザヴァリーは、陶器のような質感を持つコルセット風トップス「ボディス」を披露し、花をテーマにしたコレクションで鮮烈な印象を残しました。スペイン出身のデザイナー、ダニエル・デル・ヴァレは、フローリストとしての活動も行っており、ランなどの花をショーに巧みに取り入れました。
JWアンダーソンは、LFW期間中に新ショップをオープンさせました。高級住宅街にある小さな村のような商店街に位置する店舗は、田舎のコテージを思わせるアットホームな雰囲気で、趣味のよいホームウェアやアンティークが並び、アートや日用品までそろう空間となっています。
ブランド20周年を迎えたアーデムは、今季、自らを見つめ直すようなコレクションを発表しました。歴史的要素に加え、花柄プリントや繊細な装飾、オーガンディを重ねたスーツ、さらにはランウェーでは珍しいジーンズも登場し、これまでで最もモダンなコレクションとして評価されました。
チョポヴァ・ロウェナは、19世紀前半のシルエットや装飾を、キッチュでパンクな要素とともに再構築しました。大きめの襟やなで肩のようなパフスリーブ、身体を締め付けすぎないコルセット、広がるスカート、カメオ風ジュエリーなど、装飾性の強い歴史ロマンを感じさせる内容でした。
未来を担う若手デザイナーの台頭
セントラル・セント・マーチンズ美術大学(CSM)の卒業ショーでグランプリを獲得したペトラ・ファーゲルストロムは、初のプレゼンテーションを開催しました。AIを用いたデザインや、プリーツの動きによって印象が変化するプリントで、卒業時のテーマを発展させ、今年のLVMHプライズではセミファイナリストに選ばれるなど、最注目株の一人となっています。
同様にCSMでグランプリを受賞したデザイナーのヤクは、RPGゲームの世界観をストリート色の強いデザインへと落とし込み、今回はコンテンポラリーダンスの要素も取り入れ、独自の進化を見せました。
古着マーケットの復権とサステイナブルな潮流
LFW期間中、ポートベロー・マーケットを訪れた筆者は、ロンドンの古着マーケットの変化を実感しました。映画『ノッティングヒルの恋人』の舞台として知られるこのアンティーク市では、デザイナーズブランドをはじめ、キュレーションされたセンスのよい古着が並び、ビクトリア時代などのアンティークを扱うストールも見かけました。
少し前までは、アジア製の安価なマスプロダクトが主流だった古着マーケットですが、サステイナブル志向の高まりや物価上昇の影響で古着ブームが再燃し、個性を取り戻しています。ランウェーのトレンドを反映し、テーラリングのアイテムが多いのが特徴です。
実際、LFWでもテーラリングは重要な要素となっており、日本から参加したトーガは、ベーシックなアイテムを通して動きの面白さを表現しました。デザイナー古田泰子が得意とするテーラリング、特に横にスラッシュを入れたようなパンツは裏地でつながっており、不思議な動きを生み出していました。
ロンドンのファッションシーンを彩る多様性
今回のLFWでは、歴史と革新が交差するロンドンのファッションシーンが鮮明に映し出されました。若手デザイナーたちの挑戦は、AI技術やゲーム文化など多様なインスピレーションを取り入れ、ファッションの未来を切り開く可能性を示しています。
同時に、古着マーケットの復権は、サステイナブルな消費への関心の高まりを反映し、ファッション業界全体の変容を促しています。ロンドンならではの格調高いセンスと、王室への誇りを感じさせるドレッシーなデザインが共存する中、ファッションの新たな地平が広がりつつあります。



