邦楽器のみで現代音楽を奏でる 横浜で「音の精神」を伝える演奏会 三味線の本條秀慈郎ら
邦楽器のみで現代音楽 横浜で「音の精神」演奏会

邦楽器のみで現代音楽を奏でる 横浜で「音の精神」を伝える演奏会

横浜みなとみらいホール(横浜市西区)は、2026年3月14日午後3時から、シリーズ企画「Just Composed」の演奏会を開催する。今回は三味線奏者の本條秀慈郎(ひでじろう、41)を中心に、1999年度から続くシリーズで初めて邦楽器のみによる公演となる。秀慈郎は「日本の楽器の魅力を最大限伝えられる演奏会にしたい」と意気込んでいる。

邦楽器の柔軟性と現代音楽の共通点

本條秀慈郎は、本條流家元の本條秀太郎に師事し、三味線音楽の可能性を追求してきた。古典から現代音楽まで幅広く演奏し、多彩なジャンルとの共演を重ねている。今回の公演について、「憧れのシリーズに出られ、本当にうれしい」と強い思い入れを語る。

出演者は、伝統音楽演奏家集団J-TRAD Ensemble MAHOROBAのメンバーである川村葵山(きざん、尺八)木村麻耶(箏・二十五弦箏)堅田喜三郎(邦楽囃子)。古典ではあまり見られない三味線と尺八、三味線と箏といった多彩な編成が楽しめる。

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秀慈郎は邦楽の特徴を「楽譜には書かれない揺らぎやズレがあること」と捉える。日本の風土で培われてきた精神や美意識が演奏での「間(ま)」や「息」に反映され、譜面に縛られない臨機応変な音の使い方がされるという。西洋のクラシック音楽とは異質だが、「柔軟な現代音楽とは似た点が多い」と感じている。

「音の精神」をテーマにした自信のプログラム

今回の公演のテーマは「音の精神」。曲目は、日本ならではの音楽の精神性を表現できる「完成度もメッセージ性も高い」作品を選んだ。

  • 幕開けは、酒井健治作曲の三味線ソロ曲「Wavering」の改訂版初演。「まずはじっくり三味線の音を聴いてもらいたい」と秀慈郎。
  • 続いて、藤家渓子が尺八・チェロ・ギターのために書いた「風神」を、秀慈郎が今回の編成向けに編曲して再演。「音はほとんどいじらず、楽器の置き換えくらいだが、原曲とは違った印象を与えられれば」と期待する。
  • 北爪道夫作曲「螺旋(らせん)」(太鼓・三味線)、望月京(みさと)作曲「ぎんの音」(尺八・三味線)、松平頼暁作曲「デュオローグ」(箏・三味線)のデュオ3作品は、「調性的に限られた音の中で転じていく面白さを同時に感じてもらえる」と自信を持って選んだ。

岸野末利加の新作に驚きと感謝

ラストは、ドイツを拠点に国際的に活躍する岸野末利加(まりか)による新作「波紋(Ripples)」(三味線、尺八、二十五弦箏、囃子のための作品)。秀慈郎が三味線の演奏を披露したところ、岸野は「瞬時に音の性質を察知してくれた」という。

さらに驚いたのは、新作の楽譜に掛け声を入れる箇所が書かれていたこと。「邦楽では、微妙な音のニュアンスを表現するための掛け声は非常に重要。そのことも読み取って作曲してくれて、本当ありがたい」と喜びを語る。

初心者にも開かれた現代音楽の世界

難解なイメージがある現代音楽だが、秀慈郎は「こうした音楽もあるんだと耳を開くような演奏会にするので、初心者にこそ聴いてほしい」と呼びかけている。邦楽器の持つ豊かな表現力と現代音楽の柔軟性が融合した、独自の音の世界を体験できる機会となりそうだ。

公演の問い合わせは、横浜みなとみらいホールチケットセンター(電話045・682・2000)へ。

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