坂本冬美、デビュー40周年の節目に記念シングルを発表
演歌界を代表する歌手、坂本冬美がデビュー40周年という大きな節目を迎え、記念シングル「遠い昔の恋の歌」をユニバーサルミュージックからリリースした。昨年末のNHK紅白歌合戦で披露した「夜桜お七」のような情念溢れる歌とは一転、本作では心の奥底にしまわれた淡い恋の記憶を繊細に歌い上げている。
川村結花が10年前から温めていた楽曲を提供
今回のシングルは、坂本と同じ年のシンガー・ソングライター、川村結花が楽曲制作を担当した。坂本が「等身大」をテーマに川村に依頼したところ、驚くべき返事が返ってきた。「待ってました。実は冬美さんのために10年前に書いて温めていた曲があるんです」と川村は語り、その曲がまさに「遠い昔の恋の歌」だったのである。
歌詞は、別れた相手と偶然の再会を果たし、過ぎ去った日々の記憶が鮮やかによみがえる様子を描いている。坂本はこの詞について、「この40年、もちろん恋愛もしましたし、結婚を意識した人もいました。でも歌を選んでここまで来た。あの時違う選択をしていたら、どんな人生だったんだろう」と振り返る。
歌手人生の歩みを振り返り、新たな境地へ
1987年に「あばれ太鼓」で華々しくデビューを飾った坂本は、「夜桜お七」「また君に恋してる」など数多くのヒット曲を生み出してきた。周囲からは順風満帆に見える歌手人生だが、本人は「経験を積めば積むほど力不足を感じるようになった」と語る。
親友である藤あや子について「寝起きでもいい声が出る。私は準備して準備して、やっと本番を迎えられる。コンプレックスとの闘いは続いています」と苦笑いを浮かべる一方で、今でも舞台の幕が開く前は緊張し、観客の拍手を受けると「なんて幸せなんだろう」と感じるという。
等身大の感情が聴き手の記憶に響く
「遠い昔の恋の歌」の歌唱は、決してじめっとしたものではなく、むしろカラリと前を向いているような印象を与える。坂本は「これまで歩んできた自分全てがいとおしい、と思えたんです。立ち止まって人生を振り返った時に、切なさやほろ苦さ、そういう思い以上に」と語り、個人の物語を超えて聴き手一人ひとりの記憶に訴えかける作品に仕上がった。
40年という長いキャリアを経て、坂本は「浮き沈みのある厳しい世界ですから。でも、この40年が、何があってもお客様が受け止めてくれるという自信みたいなものにつながっているのかな」と謙虚ながらも確信を込めた口調で語った。記念シングルは、歌手としての新たな境地を示すとともに、等身大の感情を表現した見事な作品となっている。



