発達障害メイド喫茶「スターブロッサム」で内部告発
発達障害や精神疾患のある人々が働くメイド喫茶「スターブロッサム」で、元店員ら関係者が「最低賃金以下で働かされている」と東京新聞に内部告発した。勤務時間などを自ら決められる「有償ボランティア」契約を結んでいたが、実際にはシフト制や売上目標が課され、労働に当たる可能性があるという。現在、労働基準監督署が調査を進めている。
有償ボランティア契約の実態
このメイド喫茶は、大阪市阿倍野区に本店を構え、東京・渋谷区にも一時出店。将来的には本格的な店舗展開を目指している。店の理念は、障害の有無を問わず共生できる社会の実現だ。
元店員らによると、契約書には「有償ボランティア契約(労働基準法の労働者には該当しない)」「謝礼金は1時間あたり800円」と記載されていた。しかし、実際の勤務はシフト制で、「1日あたり4万円以上」の売上ノルマが設定され、接客から調理まで全ての業務を担当させられた。準備作業には謝礼が支払われず、7時間を超える勤務で休憩がないこともあったという。
内部告発の背景
契約時、店側は有償ボランティアであり労働ではないと説明していた。しかし、店員が運営方針に疑問を呈すると「パワハラを平気で行っていた」とされ、内部告発に至った。
厚生労働省によると、労働に該当するかは「業務内容について具体的な指揮命令を受けているか」「勤務場所と時間が管理されているか」などで判断される。ボランティアとは異なり、労働者には大阪府の最低賃金(時給1177円)が適用される。
契約書には「指揮・監督に従って誠実に行動する」との記載があり、労働者性を強く示唆している。
店員の声
店のホームページでは「何度でも失敗しチャレンジできる場所」と謳っているが、体調不良で数日休むと、店内のメイド紹介写真を外されたり、退職を勧められたりしたという。「意見を言えば退職させられる。半年で6人はいなくなっている」と関係者は語る。「夢を持ってやってくる子が搾取され、やりきれない」と訴えた。
店側の回答
東京新聞の取材に対し、スターブロッサムの担当者は「有償ボランティアの労働者性については、弁護士に相談の上、労働基準監督署に実態説明を行いながら対応している」と回答した。一方、管轄の大阪南労働基準監督署は「調査の有無は答えられない」とした。
有償ボランティアと労働者の境界
厚生労働省は、ボランティアについて「活動の自主性、自発性、創造性が最大限尊重されなければならない」と説明。交通費や謝礼金が支払われる有償ボランティアは、短時間の高齢者支援やマラソン大会の運営補助などに適用されることが多い。
一方、契約内容にかかわらず、使用者の指揮監督下で働き、時給などで報酬が支払われる場合は、労働基準法上の「労働者」とみなされる。シフト制やノルマがある勤務体系について、埼玉県立大の朝日雅也名誉教授(障害者福祉)は「『有償ボランティア』とは言い切れないのでは」と指摘する。
ボランティアが労働者と認定された場合、最低賃金の支払いが必要となるほか、労災保険や雇用保険の未加入、休憩未付与などの問題も生じる。
専門家の見解
労働問題に詳しい川岸卓哉弁護士は、「発達障害者の就労支援の場を提供する意義はあるが、働く以上は労働者として労働基準法・最低賃金法が適用されるのが原則。契約書に『活動中は指揮・監督に従って誠実に行動する』とあり、指示・指導が行われている。基本は時給制で、報酬は労務の対価としての性格が強い。契約書から見ても労働者の疑いがある」と述べている。
この問題は、障害者雇用の在り方や、新しい働き方のグレーゾーンを浮き彫りにしている。今後の労基署の調査結果が注目される。



