マンガワン別名義問題 弁護士「全否定しない」も二次加害懸念を指摘
マンガワン別名義問題 弁護士「二次加害懸念」

マンガワン別名義起用問題 弁護士が更生と二次加害の狭間で見解

小学館のマンガ配信アプリ「マンガワン」において、過去に性暴力事件に関与したマンガ家を別名義で起用した問題で、同社が謝罪したことを受け、性暴力事件に詳しい上谷さくら弁護士が取材に応じた。加害者が別名義で活動を再開することの是非について、被害者への影響と加害者の社会復帰の観点から、複雑な課題を浮き彫りにしている。

被害者への二次加害リスクを指摘

上谷弁護士は、性暴力事件に関わった作家や著名人が同じ名義で活動を再開することは、被害者に対する二次加害につながる可能性が高いと指摘する。特に注目を集める職業の場合、被害者の目や耳にどうしても入ってきてしまう状況が生じやすいという。

「自分はまだ苦しんでいるのに、あの人はもう忘れている」という感情が、被害者をさらに苦しめる要因になると弁護士は説明する。性被害は顔見知り同士で発生するケースが多く、共通の知人が多いことも特徴的だ。同じ業界で働いている場合、被害者が回復して仕事に復帰しても、加害者が華々しく活動している情報が伝わることで、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状が悪化する事例もあるという。

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加害者の更生と社会復帰の観点

一方で、刑事罰を受けて罪を償った後であれば、活動を認めるべきという意見もあることについて、上谷弁護士は日本の法制度を踏まえて見解を示す。

「日本は、刑事罰を受けても社会と関わって更生して生きていくという法制度をとっています。ですから、加害者が再び活動すること自体を否定はしません」

被害者の中にも、加害者が働いて社会的責任を果たすことを謝罪の一環として求める考え方があることを弁護士は指摘する。「刑務所に入らず、執行猶予をつけて社会で働いて賠償をしてほしい」「自分の見えないところできちんと働いて被害弁償をしてほしい」という意見を持つ被害者が存在するという。ただし、「自分の生活圏にチラチラと出てこないでほしい」という思いは多くの被害者に共通していると述べた。

別名義での活動再開についての見解

今回のマンガワンの事例のように、マンガ家や原作者が名義を変えて活動することについては、上谷弁護士は慎重な姿勢を示している。

「私としては、全否定はしませんが、被害者への影響を十分に考慮する必要があります」

別名義を使用することで、被害者が直接加害者の活動を目にすることが減る可能性はあるものの、業界内での情報伝達や偶然の遭遇など、完全に遮断することは現実的に困難な場合が多い。弁護士は、加害者の更生を支援しつつも、被害者の心的外傷を悪化させない配慮が不可欠であると強調する。

この問題は、単純に「許す・許さない」の二元論では解決できない複雑な要素を含んでいる。加害者の社会復帰の権利と、被害者の平穏な生活を守る権利のバランスをどう取るかが、出版社や関係者に求められる課題となっている。

小学館は既に謝罪を行い、調査委員会を立ち上げる方針を示している。今後の対応が、出版業界全体のガイドライン形成にも影響を与える可能性がある。被害者支援の専門家からは、業界全体で統一的な対応基準を設ける必要性も指摘されている。

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