小学館、別名義での原作者起用問題が拡大 「星霜の心理士」でも判明
小学館、別名義原作者起用が別作品でも判明

小学館、別作品でも原作者の別名義起用を認める 第三者委員会で調査へ

小学館は3月2日、同社のマンガ配信アプリ「マンガワン」で連載中の作品「星霜の心理士」について、原作者が過去に性加害事件に関わった人物を別の名義で起用していた事実を公表しました。この問題は、同アプリで連載中の「常人仮面」でも同様の事例が明らかになっており、出版社側の対応が注目を集めています。

八ツ波樹氏の起用経緯と編集部の判断

今回問題となった原作者は「星霜の心理士」を手がける八ツ波樹氏です。同氏は「マツキタツヤ」名義で、集英社の「週刊少年ジャンプ」に「アクタージュ act-age」を連載していましたが、2020年8月に強制わいせつの疑いで逮捕され、連載が打ち切られました。その後、執行猶予付きの有罪判決を受けています。

マンガワン編集部によれば、2024年9月に編集者が八ツ波氏と面会し、事件に対する反省の姿勢や再発防止への取り組みについて確認しました。当時の編集長が了承したこの面会では、被害者への贖罪感情や内面的な変化についても聞き取られました。

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編集部は「社会復帰を目指すことは否定すべきでない」と判断し、八ツ波氏の担当心理士が「心的療養、更生が十分になされている」と評価している点を重視しました。また、八ツ波氏自身が以前の名義での活動による被害者への二次加害を懸念していたため、編集部と協議の上でペンネームの変更も認められました。

調査体制の強化と今後の対応

小学館は当初、顧問弁護士と社員による調査委員会で経緯を調べていましたが、新たに第三者委員会を立ち上げ、調査を移行させる方針を明らかにしました。この委員会では、編集部の作家起用プロセスや人権意識について詳細な検証が行われる見込みです。

編集部は公式コメントで「被害者配慮として適切だったかについて熟慮すべきであった」と反省の意を示し、「被害に遭われた方々に深くお詫び申し上げます。そして不安を抱かれているすべての皆様にも深くお詫び申し上げます」と謝罪しました。

「星霜の心理士」については、3月2日から連載の更新を一時停止することが決定されています。また、小学館は3月3日に開催予定だった第71回小学館漫画賞の贈呈式を延期する方針も発表しました。

業界全体への影響と社会的責任

この問題は単なる個別事例ではなく、出版業界全体の倫理基準や社会的責任を問うものとして注目されています。編集プロセスの透明性や、過去に問題を起こしたクリエイターの社会復帰をどのように支援すべきかという難しい課題が浮き彫りになりました。

小学館漫画賞は1955年に創設された歴史ある賞であり、今回の受賞者は1月14日の最終審査を経て既に公表されています。例年通りなら、東京都内で関係者や報道陣を前に贈呈式が行われる予定でしたが、現在は延期が決定しています。

今回の一連の対応は、出版社が社会的な信頼を維持しながら、クリエイターの更生と作品制作のバランスをどのように取るべきかという根本的な問いを投げかけています。第三者委員会による調査結果と、今後の対策が業界全体の規範となる可能性も指摘されています。

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