妻とのキスや抱擁は「不貞行為にあたらない」 東京地裁が夫の損害賠償請求を棄却
妻とのキス抱擁は不貞行為にあたらない 東京地裁が判断

妻とのキスや抱擁は「不貞行為にあたらない」 東京地裁が夫の損害賠償請求を棄却

妻と男性がキスをしたり抱き合ったりしたことを不貞行為として、夫が相手の男性に約800万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(飯塚謙裁判官)は、キスや抱擁などの行為は不貞行為にあたらないと判断し、夫の請求を棄却しました。この判決は17日付で下されました。

夫の主張と判決の概要

判決によりますと、ともに40歳代の夫妻は2009年に結婚し、子ども2人をもうけています。妻は2023年7月から8月にかけて、東京都内でバーを経営する男性と路上で手をつなぎながら歩いたり、公園のベンチで抱き合ったりキスしたりしたほか、バーの店内で計3回、男性と2人で1時間から3時間程度を過ごしたとされています。

夫側は訴訟で、男性が妻と肉体関係を含む不貞行為に及んだと主張し、妻の素行調査にかかった費用や精神的苦痛を被った慰謝料などが損害にあたると訴えていました。

Pickt横長バナー — Telegram用の共同買い物リストアプリ

判決の詳細な理由

判決は、妻と男性について「親密な関係にあったことがうかがわれる」と認めつつも、バーで数時間を過ごしたとしても肉体関係を認めることはできないと指摘しました。さらに、キスや抱き合ったり手をつないだりする行為が肉体関係に準じるとは言えず、こうした行為が長期間続いたものでもないことを踏まえています。

具体的には、「結婚生活の平和の維持を侵害する不法行為とは認めがたい」と結論付け、夫の請求を退けました。この判断は、不貞行為の定義や不法行為の成立要件を厳格に解釈した結果と言えます。

社会的な背景と影響

この判決は、現代社会における不貞行為の範囲や、配偶者間の信頼関係の侵害をめぐる法的な議論に新たな視点を提供するものです。従来、不貞行為は主に肉体関係を中心に考えられてきましたが、今回のケースでは、キスや抱擁といった行為がそれに該当するかどうかが争点となりました。

裁判所は、「親密な行為が一時的で、長期的な関係の破綻につながらない限り、不法行為として認めるべきではない」との立場を示したと解釈できます。この判断は、今後類似の訴訟において重要な先例となる可能性があります。

また、夫側が主張した素行調査費用や精神的苦痛についても、判決は具体的な損害の立証が不十分であると判断しました。これにより、不貞行為を理由とした損害賠償請求のハードルが高いことが改めて示されました。

この事件は、夫婦間の信頼やプライバシーの問題を浮き彫りにし、法律と倫理の狭間で悩む多くの人々に考える機会を与えるものと言えるでしょう。

Pickt記事後バナー — 家族イラスト付きの共同買い物リストアプリ