Vチューバー応援広告が全国13の博物館・美術館に登場 新たな客層開拓に期待
Vチューバー応援広告が全国13施設に 新客層開拓に期待

Vチューバー応援広告が全国13施設に登場 文化施設の新たな客層開拓に一役

兵庫県西宮市の白鹿記念酒造博物館「酒ミュージアム」をはじめ、全国の美術館や博物館13施設に今月、バーチャルユーチューバー(Vチューバー)の応援広告が設置されている。これはVチューバー「儒烏風亭(じゅうふうてい)らでん」のファン有志が、その活動を支援するとともに文化施設の魅力発信に貢献しようと企画したもので、施設側も新たな来館者獲得に期待を寄せている。

酒ミュージアムに登場したVチューバー広告

日本酒の仕込み道具などが展示されている酒ミュージアムの一角に、額縁に入ったポスター大の応援広告が置かれている。描かれているのは、2023年から活動を開始した4人組Vチューバーユニット「ReGLOSS」のメンバーであるらでんのキャラクターだ。

らでんは学芸員の資格を持つ美術や落語を愛する女子として設定されており、SNSを通じて美術館や博物館の情報を積極的に発信。配信チャンネルの登録者は120万人を超え、各地の美術館で企画展の音声ガイドに採用されるなど、高い人気を集めている。

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ファン有志による「でん同士企画部」の取り組み

応援広告は、ファン有志で結成された「でん同士企画部」が約10万円の費用をかけて作成したもの。らでんのYouTubeチャンネルに誘導する二次元コードが付いており、Vチューバーとしての活動を応援するとともに、美術館の魅力発信にも貢献することを目的としている。

企画部はらでんの「誕生日」である2月4日に合わせ、らでんがこれまでに発信してきた全国の文化施設13か所に広告を掲示。当初は8施設の予定だったが、施設側の協力が得られやすかったことから、設置数が拡大した。

企画部のメンバーである神戸市須磨区の会社員男性(46)は「最初はビジュアルに惹かれたが、芸術に関する独特の着眼点に驚かされ、自分も積極的に美術館を訪れるようになりました。『施設に足を運ぶきっかけ作りを』というらでんさんの思いを応援したいです」と語っている。

施設側の好意的な対応と新たな客層の開拓

多くの施設が無料での設置に協力し、中には岐阜県現代陶芸美術館(岐阜県多治見市)のように、らでんの等身大パネルを合わせて展示するなど、積極的な支援を見せている。

酒ミュージアムでは、学芸員の宮丸晶さん(28)が応援広告のそばにファンが寄せ書きできる「でん同士ノート」を用意。「私の知識や興味を広げてくれてありがとう」「らでんちゃんに出会い、学芸員を目指しています」など、約80人からのメッセージが寄せられている。

宮丸さんは「広告をきっかけに全国からお客さんが訪れるようになり、特に若い男性客が増えました。日本酒の奥深さをより多くの方に知ってもらう良い機会になっています」と話し、新たな客層の開拓に手応えを感じている。

応援広告の文化的背景と今後の展開

応援広告は、アイドルやアーティストのためにファンが費用を出し合って駅などに掲示する広告で、韓国発祥の文化。日本では2019年頃から増加傾向にあり、誕生日に合わせた広告は「センイル広告」(センイルは韓国語で誕生日の意)とも呼ばれる。

今回の取り組みでは、各施設での応援広告の掲示は一部を除き2月28日までとなっているが、Vチューバーと文化施設の連携による新たなマーケティング手法として、今後も同様の事例が増える可能性がある。

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デジタル時代における文化施設の活性化策として、伝統的な博物館や美術館がVチューバーという新しいメディアと協力することで、若年層を中心とした新たな来館者を開拓する動きが注目されている。