静岡県浜松市で開催される「浜松まつり」で、子どもの誕生を祝い健やかな成長を願う凧揚げが行われる。その中で、中央区東伊場の「い組」では、ラッパ隊の隊長に初の女性となる伊野瀬広美さん(47)が就任した。「地域の方と力を合わせて一つのものをつくり上げることに魅力を感じる」と語り、3日の開幕を前に大役への意気込みを見せている。
ラッパ隊の指導に熱意
4月中旬のある夜、地元の寺で隊長の声が響いた。ラッパ隊の主力である小学3~6年生約20人を前に、伊野瀬さんは「軽やかに、はねるように!」と指導。ドラムスティックで拍子を刻みながら、ラッパに息を吹き込む子どもたちを引っ張った。彼女は浜松市で生まれ育ち、幼少期にはまつりに参加してお囃子を奏で、中学時代は吹奏楽部でホルンを担当。浜松市立高校ではマーチングに打ち込んだ。
異色の経歴が生きる
短大卒業後、JR東海に入社し、9年目で東海道新幹線初の女性車掌長に抜擢された。この経験が現在の指導に活かされている。ホルンやマーチングの経験は、歩きながらラッパを演奏するコツに通じ、JR東海での統率力は気が散りがちな子どもたちをまとめる力となっている。隊のメンバーの実力差は大きいが、「まとまった音に仕上げるのが難しい」と感じつつも、「初めてラッパを触った子が吹けるようになり自信をつける姿がうれしい」と語る。
昨年、経歴を聞きつけた住民から「ラッパ隊長にならないか」と誘われ、二つ返事で引き受けた。指導のモットーはメリハリで、「ビシッとやる時とそうでない時の緩急をつけている」と明かす。最も重視するのは一体感で、「子どもも大人も一丸となってつくり上げる雰囲気」を目指している。
周囲の支援と家族のエール
副組長の安間章隆さんは「ラッパ隊の音がしっかり出ているのは、伊野瀬さんが取り入れた基礎練習のおかげ」と称える。また、娘の葉月さん(10)は「隊長だからまつりの大切な一人。どこでも頑張ってほしい」とエールを送る。伊野瀬さんは、浜松まつりに参加する子どもたちの活躍を父と見に行っていたが、その父は昨年12月に他界。今年は写真に手を合わせてまつりに臨み、「皆さんに良くしてもらい、子どもたちをまとめてここまでやってきたよ。見守っていてね」と語る。



