報徳学園吹奏楽部、地域貢献と感謝の心を育む活動を紹介
報徳学園吹奏楽部、地域貢献と感謝の心を育む

報徳学園中学校・高等学校(兵庫県西宮市)の吹奏楽部は、演奏技術の向上に励む一方で、地域の祭りへの参加や他校との合同演奏会などを通して社会性を育んでいる。その活動の根底には「以徳報徳(徳をもって徳に報いる)」の教育理念があり、部活動に打ち込めることへの感謝と、演奏を通じた周囲への貢献を大切にしている。

地域との交流を大切にした演奏活動

同校は野球や柔道など運動系クラブが全国的に有名だが、文化系クラブも活発だ。中でも吹奏楽部は長い歴史と伝統を誇り、2015年と2016年には「関西吹奏楽コンクール」高等学校小編成部門で2年連続金賞を受賞。2021年にも兵庫県代表として関西大会に出場し、銀賞を受賞するなど、輝かしい実績を積み重ねてきた。

現在の部員は中学生7人、高校生7人の計14人。入学式などの学校行事での校内演奏に加え、地域の祭りにも積極的に出演している。今年8月23日には、隣接する西宮市立段上小学校で開催された「段上地区夏まつり」に参加し、「イケナイ太陽」「銀河鉄道999」「魔女の宅急便コレクション」などの人気曲を演奏し、会場を盛り上げた。

吹奏楽部顧問の石田優介教諭は「お祭り参加は地域貢献の一つなのですが、生徒たちにとっても外部のさまざまな世代の方と出会える貴重な機会になっています」と活動の意義を語る。

学外ホールでの演奏会とOBとの共演

毎年5月には学外のホールで演奏会を開催している。今年は5月4日に宝塚市立文化施設「ベガ・ホール」で開かれ、保護者や学校関係者、地域の人など約300人が来場。第1部では現役部員13人が練習の成果を披露し、第2部ではOB約30人が加わり迫力ある演奏を見せた。

石田教諭は「本校の教育理念は『以徳報徳』です。それぞれの持ち味を磨き、社会に役立てる、言い換えれば感謝と貢献であって、部活動で好きなことに打ち込めるのも、先生や保護者、OB、演奏を聴きに来てくださる地域の方の支えがあってのことなのだから、常に感謝の心を忘れずに演奏しなさいと伝えています」と話す。

他校との合同演奏で広がる視野

西宮市内の他校との合同演奏の機会も多い。西宮市高等学校吹奏楽連盟に所属する関西学院高等部、仁川学院中学・高等学校、県立西宮高等学校の3校とは、毎年1月にニューイヤーコンサート、11月に定期演奏会を合同開催している。

また、阪神甲子園球場で開催される全国選抜高校野球大会で演奏を担う音楽隊にも参加。この音楽隊は連盟所属校の代表約100人で構成され、今年3月の大会には報徳から3人が参加した。

部長の前田竜之介君(高2)は「他校とのセッションでは100人超の中で演奏することもあります。初めは知らない者同士で気まずい空気も流れますが、言葉を交わし、打ち解けていく中で音もだんだん合っていきます」と話す。副部長の垣本悠佑君(高2)も「他校の生徒と話をすると、さまざまな個性を持つ人がいて社会的にも視野が広がります」と語る。

石田教諭は「学校単位で出場するコンクールでは他校はライバルになりますが、合同演奏では一つの音楽を協力して作っていく仲間になるのも吹奏楽の魅力」と話す。

先輩やOBとの縦のつながり

同部は「縦」のつながりも強く、普段の練習にはOBも指導に当たる。前田君は中学入学後にユーフォニアムを始めた際、年の離れた高校生やOBに指導を受けた。垣本君も小学校からのトロンボーン経験を生かし、高校から入部。先輩やOBの指導に感謝している。

垣本君は8月の「段上地区夏まつり」で、ソロ演奏中にステージ上を歩くアドリブパフォーマンスを披露。「観客との距離が遠く、もっと近くで演奏したほうが喜んでくれるかなと思い、前を歩いて演奏しました。子供たちが笑ってくれているのが見え、よかったなと思いました」と振り返る。

石田教諭は「公立学校ではクラブ活動の地域移行が進んでいますが、報徳は私学ということもあり、学内での活動が可能な恵まれた環境にあります。これを当たり前と思わず、吹奏楽を通して周囲への感謝やヒューマニティーを身に付けていってほしいと願っています」と語った。