パラアイスホッケー伊藤樹選手の11年追うドキュメンタリー、29日放送
パラアイスホッケー伊藤樹選手の11年追うドキュメンタリー

カンテレ制作のドキュメンタリー『氷の上で、生きていく―ミラノへの11年―』が、29日25時50分からフジテレビで放送される(関東ローカル、一部変更あり)。本作は「第35回FNSドキュメンタリー大賞」ノミネート作品で、交通事故で脊髄を損傷し車いす生活となったパラアイスホッケー日本代表・伊藤樹さん(20)の11年間を追う。

事故から競技復活まで

伊藤さんは8歳の時、母・紅子さんが運転する車でアイスホッケーの練習に向かう途中、交通事故に遭い脊髄を損傷。下半身不随となり、大好きだったアイスホッケーを断念。事故後は「足じゃなくて手だったらよかったのに」と漏らしたこともあった。学校では同級生から「歩けないくせに」と心ない言葉を浴び、泣きながら下校した日もあったという。

絶望の底にいた伊藤さんを救ったのがパラアイスホッケーだった。「パラアイスホッケーがなかったら今の俺はいない。ホッケーに救われた」と語る。パラリンピック出場という新たな夢ができてからは、練習に打ち込んだ。「ただ歩けなくなっただけ。できないことが一つ増えたけど、その分パラアイスホッケーができるようになった」という言葉には、失ったものではなく見つけたものに目を向ける強さがにじむ。

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母の支えと単身渡米

事故で母・紅子さんも重傷を負ったが、息子の前で弱音を吐かず、明るく接しながら夢を支え続けた。足に大けがを負いながらも車での送迎を欠かさず、「怖いけど、やりたいというからやらせたい」と見守った。高校卒業後、伊藤さんは単身アメリカへ渡り、パラリンピック出場を目指して修行を積んだ。

最終予選での奇跡

出場権をかけたノルウェーでの最終予選。6カ国総当たりで上位2カ国のみが切符をつかめる中、日本は初戦の韓国戦に敗れ、後がない状況に。2試合目も終了間際までリードを許す苦しい展開だったが、奇跡が起きる。試合後、伊藤さんは「ホッケーの神様が、まだ俺らに“ホッケーしていい”って言ってくれた」と語った。

ディレクターの思い

取材した縄田丈典ディレクター(カンテレ報道センター)は「“絶対にパラリンピックに出場する”と何度も聞いた。ミラノのリンクで滑る姿を見て自然と涙があふれた。諦めるという言葉は一度も聞いたことがない」とコメント。伊藤さんが単身アメリカに行く際、母に「これからは俺のためじゃなくて、自分のために時間を使って」と伝えたエピソードにも触れ、「初めて取材した9歳の少年が20歳の立派な大人になっていた」と成長を実感した。

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