西陣織や清水焼など、京都の伝統工芸品を建材やインテリアに採用した宿泊施設が7月下旬、京都市下京区にオープンした。空き家の京町家2棟をリノベーションした一棟貸しの宿で、伝統工芸の振興と京町家の再生を両立する取り組みだ。
築100年の京町家を改装
京町家はいずれも築100年ほどとみられる2階建て。京都の職人技に囲まれて心地よいひとときを過ごしてもらおうと、「Ambiente(アンビエンテ) Kyoto」と名付けられた(「Ambiente」はイタリア語で「環境」「雰囲気」の意)。北棟(4室)に7人、南棟(6室)に9人が宿泊でき、主にインバウンドや家族連れの利用を想定している。
伝統素材を現代の生活様式に
手がけたのは、京都中央信用金庫が2022年に設立した地域商社「京都アンプリチュード」(京都市中京区)。金融機関の地域商社は食品を扱うことが多いが、かつて呉服問屋が立ち並んだ四条室町に本店を構える中信は、時代の変化で先細りしつつある絹織物などの伝統産業に着目。和紙や竹といった伝統素材、西陣織や仏具などの漆塗りの技術などを現代の生活様式に合う形で建材や内装材に採り入れ、ホテル向けなどに新たな販路を開拓してきた。
同社が宿泊施設そのものを手がけるのは初めてで、伝統工芸事業者22社と協業。のれんに用いられることが多いろうけつ染めを座面に施したソファや京和傘を生かした照明器具、清水焼の洗面ボウルや絹織物を挟みこんだガラスの引き戸などを配した。また床材には京都産の「みやこ杣木(そまぎ)」を採用した。
衰退する伝統産業に歯止めを
京町家を取得し、改装費用を出したのは、訪問看護・介護や飲食業などを手がけるトキノホールディングス(大阪府門真市)。山田哲大代表(50)は「伝統産業や京町家が衰退しつつあると聞き、力になりたいと思った。インバウンドに京都の伝統工芸品に触れ、関心を持ってもらう機会になればうれしい」と話す。
宿泊料金は、北棟で1泊8万円程度、南棟が10万円程度が目安だが、時期と需要に応じて変動する。



