歴史シミュレーションゲーム「信長の野望」シリーズを芸術作品として展示する企画展「ゲームと美術 信長の野望」が、宇都宮市桜の県立美術館で6日まで開催されている。先月25日には開始から1か月半で来場者が1万人を突破し、娯楽にとどまらない意外な魅力が再評価されている。
双方向性が生む芸術体験
シリーズの魅力は、プレーヤーの選択でゲーム展開が変化する双方向性だ。仲間に入れる家臣や同盟を組む国など、プレーヤーが選択を重ねることで物語が進んでいく。
企画展では、原画計9点や開発初期に使用されたパソコンを展示。高さ4メートル、横14メートルの巨大スクリーンやモニターには迫力あるプレー映像が流れている。
美術館が着目したゲームのシステム
「美術館として着目しているのが、ゲームのシステムです」と、同展を企画した武関彩瑛学芸員(33)は話す。
展示は、「信長の野望」をプレーすることと芸術鑑賞には共通点があると指摘する。絵画や演劇などの芸術鑑賞は、作品が鑑賞者に解釈を促す双方向的(インタラクティブ)な作業ととらえ、「信長の野望」もプレーヤーに選択や行動を促す点から、芸術体験として評価できるとしている。
国内外で広がるゲーム芸術の流れ
東京都杉並区から訪れた男性会社員(34)は、「『信長の野望』が芸術という印象はなかったが、意外とかみ合っていた」と話していた。
ゲーム体験を芸術と見なす動きは約15年前に米・ニューヨーク近代美術館(MoMA)で始まり、近年は国内でも広がっている。東京芸術大学は今春、大学院映像研究科にゲームの研究やクリエイター養成をする「ゲーム・インタラクティブアート専攻」(修士課程)を新設した。
一方、美術館はこれまで、「娯楽」とされるゲーム体験を芸術として展示テーマに取り上げることはなかった。国内で開催されたゲーム関連の展示は、ほとんどが原画などを主題にしており、ゲームとプレーヤーの関係に着目したものはほとんど前例がないという。
武関学芸員は「ゲームの魅力はビジュアル面だけではない。ゲームが持つ芸術性に気づくきっかけになってほしい」と期待を寄せている。
「信長の野望」シリーズについて
信長の野望は、コーエーテクモゲームス(横浜市)が手がける戦国時代が舞台の歴史シミュレーションゲーム。プレーヤーが織田信長などの武将を操作して天下統一を目指す。1983年発売の「信長の野望」から16作品が販売され、累計出荷本数は世界で1100万本。今冬には最新作「信長の野望・飛翔」が発売予定。



